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DEATH STRANDING [PS4] 評価・レビュー

『DEATH STRANDING』ってどんなゲーム?

・大災厄によって崩壊したアメリカを舞台に、人々をつなぐため配達をするオープンワールド・アクションアドベンチャー
・ゲームプレイの大半は配達でありお使いですが、それを最高に楽しめる作りになっている!
・親切の連鎖が生み出す、緩やかで優しいマルチ協力プレイ要素が新鮮!
・壮大なSF的テーマを描いたストーリー!キャストもめちゃくちゃ豪華で映画のよう
・過酷な配達を続けるなかで、プレイヤーそれぞれが経験するドラマも熱い!

公式サイト

ゲームレビュー

本作は、大災厄によって社会基盤が崩壊したアメリカを舞台に、分断された人々をつなぐため配達をするオープンワールド・アクションアドベンチャーゲームです。
舞台となるのは、無人の荒野となった北米大陸。
フリーランスの配達人である主人公のサム・ポーター・ブリッジスは、大統領の依頼を受け、アメリカ大陸を横断する配達の旅に出ることになるという物語が描かれます。
サム役には俳優のノーマン・リーダスさんを起用し、他にもマッツ・ミケルセンさん、レア・セドゥさん、リンゼイ・ワグナーさんら世界的名優たちが出演しています。

また、緩やかなマルチプレイ要素として「ソーシャル・ストランド・システム」があり。
他のプレイヤーが設置したハシゴや高速道路といったフィールド上のオブジェクトを共有し、協力して配達ルートの開拓を行えます。

なお、新要素を加えた「DIRECTOR’S CUT」がPS5/PC向けに配信中です。
アクション・武器・乗り物・建設物が追加され、新しい配送手段を使ってみたり、新たな敵やミッション・ミニゲーム・ランキングシステムなどが楽しめます。

配達しかしないけど、配達がめちゃくちゃ楽しいスーパー配達ゲーム!

『DEATH STRANDING』の主となるゲームプレイは、配達です。
主人公は荒野を自由に移動しながら、荷物を届け、人々とのつながりを深めていきます。
その道中には、配達を妨害する敵対する存在や、高低差や雪といった過酷な自然環境という障害を乗り越える必要があります。

というわけで、本作はとにかく配達をしまくるゲームです。
各地でひっそり暮らす人々から依頼を受け、荷物を背負い、徒歩や乗り物で移動をしてお届け物をする。
所謂お使いクエストを繰り返すプレイングなので、ゲームサイクルはとても単調です。

では、あまりおもしろくないのかというと……そんなことはまったくありません。
お使いがめちゃくちゃ楽しい、スーパー配達ゲームなのです!

考えうる限り、最高に楽しくした配達アクション!

まず、本作は配達というアクションを最大限楽しめるよう工夫されている作品です。
基本的に荷物は背中に積むのですが、重さや積み方によって崩れやすさが変わったり、地面の凸凹によってつまづいたりもします。
なかには、破損してはだめだったり、運搬時間に制限があったりと運ぶのが少し難しい荷物もあり、慎重に配達する必要があります。
運ぶ際の移動手段も徒歩だけでなく、バイクやトラックといった乗り物も利用でき、大幅に移動時間の短縮が可能です。

また、本作はオープンワールドなので、荷物を運ぶルート取りも自由に行えます。
最短距離の川を渡ったり、高低差のある崖を登ったり、少し遠回りになるけれど平坦な道を歩いていくなど、プレイヤーの判断でさまざまな手段がとれます。
配達の障害となるのはこうした過酷な自然環境だけでなく、荷物を狙う人々や異形の存在と接触する機会もあります。
この際にはバトルが発生しますが、敵を倒すというより気絶を狙ったり、隠れながら回避したりといった直接殴り合わない戦闘が特徴でした。
そのため、戦うアクションに重きは置かれていない印象です。
(まぁ、私の場合は荷物を片手に、物理で殴りかかっているケースが多かったのですがw)

このように、配達時はどの荷物をどれぐらい積むのか、どのルートで運ぶのか、どの依頼を受けるのかといった条件を考慮する必要があります。
もちろん、少し手間に感じることはありました。
ファストトラベルが当たり前のように実装されているオープンワールドゲームにおいて、ちまちま移動するのは当然わずらわしさがあります。
しかし、本作は人のいない荒野を舞台としており、そんなにホイホイ移動ができるわけがありませんし、そうしたハードな環境下だからこそ、配達人という職業が機能しているわけです。
そして、全力で配達人のロールプレイを楽しめる仕組み作りがされているので、面倒さよりも過酷さに頭を悩ませることのほうが多かったようにおもいます。

親切の連鎖が生み出す、新鮮で優しいマルチプレイは配達のモチベーションを上げる!

また、先述した「ソーシャル・ストランド・システム」によって、他のプレイヤーの助けが得られるのも良い要素でした。
本システムの特徴は、他のプレイヤーが直接自分のゲームに現れて助けてくれるのではなく、そのプレイヤーが作った建築物や作った高速道路を利用できるなど、間接的なつながりであるという点です。

たとえば、流れが急な川を渡らないといけないときに、そっとハシゴがかかっていたら?
岩だらけの平原をトボトボと歩いていて、ふと目の前に雨宿りできる場所があったら?
歩くのも大変な雪山の谷で、一気に抜けられるジップラインが設置されていたら?
めちゃくちゃうれしいですよね!助かりますよね!

そうした小さな親切の積み重ねによって、緩やかに助け合い、みんなで配達稼業をがんばろうというのが本作におけるマルチプレイなのです。
困ったことの連続である配達の道中でこうした優しさに触れると、「自分以外にもがんばっている配達人がいるんだな」と俄然やる気が出てくるもの。
単調な配達を繰り返すゲームプレイであっても、飽きずに続けられたのは、ひとえのこのマルチプレイ要素が大きいとおもいます。

そして、自分が移動のために作った建造物が、誰かの役に立つと「いいね」がもらえます。
これもモチベーションを喚起させられました。
いいねがもらえると、より多くのプレイヤーと建築物などの情報が共有できるようになるのです。
こうしたハッピーの連鎖が人助けのハードルを下げ、「自分も誰かの役に立てたらいいな」ぐらいのやわらかい温度感で親切したくなる気持ちを生んでいました。

言葉によるアドバイスや直接的な手助けをするわけではない。
この奥ゆかしい優しさを感じられる体験はとても新鮮で、ただ配達するしかない本作のゲームサイクルを彩りあるものにしていたとおもいます。

壮大なテーマを描く本編と、プレイヤー自身が作るドラマチックな旅路

また、本作の魅力を語るうえで欠かせないのが、ストーリー演出です。
さすが映画好きの小島監督らしいクオリティで、キャスト陣の豪華さはもちろん、クリアしたあとは大作映画を1本観終わったような充実感が味わえました。

ストーリーは、北米大陸を横断するというシンプルな流れです。
しかし、主人公であるサムをはじめとするキャラクターたちが大災厄を経てどうなったのかという描写が丁寧で、特殊な状況下にも関わらず、各々に感情移入しやすいのが印象的でした。
また、最終的にSF映画・小説のような地球規模の大きな話まで広げているのも壮大さがあり。
実際にプレイヤーが行うことは基本配達でも、とても大きな出来事に携わっているんだという達成感を感じられて良かったです。

ただ、個人的に気に入ったのは、配達の途中で特定のエリアに入ると視点が引きになり、エモーショナルな音楽がかかるシーンがあること。
配達人として旅を続けているプレイヤーの様子を客観的に見られる感じで、その姿がもうドラマチックでかっこいいんですよね。
ここまでの配達ルートを思い返して、「新しい土地にきたんだな」としみじみしたり、「ここからまた次の配達が始まるんだな」と気持ちを新たにしたり。
過酷な配達をくぐり抜けてきたプレイヤーたちにとって、そうした何気ない移動シーンで音楽がかかるだけでも、心に響く名場面に感じられるとおもいます。

さいごに

ゲームプレイングとしては配達がメインの作品なので単調さがあるものの、それを補って余りあるほど楽しい配達人ライフが送れる作品でした!
とはいえ、お使いはお使いなので、人を選ぶゲームだとはおもいます。
しかし、孤独な配達人になりきり、過酷で寂しい荒野を走り回り、ときに他のプレイヤーとの心温まる交流をするという体験は本作でしか味わえません。
ぜひ「いっちょ配達で世界を救うか!」というような心構えでプレイして欲しい、個性の際立つおすすめの作品です。

ちなみに、昨年開催された「TGA 2022」で、続編の『DEATH STRANDING 2』(仮題)が発表されました。
配達アクションやマルチプレイに関する新鮮さは本作で十分味わってしまったので、次回作でどのようなチャレンジをしてくるのかとても楽しみにしています。

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たこ
積みゲーマーです! ジャンルはRPG・アドベンチャー・パズルが好きですが、とりあえず気になったものは全部やる!! 読みやすくて前向きなレビューになるように心がけています! 連絡先▷info@tsumige.net