『Return of the Obra Dinn』ってどんなゲーム?
・「オブラ・ディン号」の船内を調査し、死体から身元や死因を割り出す一人称視点のアドベンチャー
・死の瞬間に遡り、手記の情報と合わせて多角的な手がかりを分析する推理が楽しい!
・グラフィックはモノクロのドット絵!引き込まれる雰囲気を出すだけでなくシステムにもマッチ!
・探偵のような調査・推理を本作ならではの工程を踏んで楽しめる、個性的な傑作です!
ゲームレビュー
記事の目次
本作は、消息不明となった商船「オブラ・ディン号」を調査し、そこで亡くなった人々の身元と死因を割り出す一人称視点のアドベンチャーゲームです。
プレイヤーは保険調査員として船内を歩き回って死体を探し、死の瞬間へとタイムスリップしたり、さまざまな情報が書かれた手記を片手に捜査を行います。
なお、激しいアクションは必要ありませんが一人称視点のため、探索に熱が入りがちな中盤以降は酔う可能性があるのでご留意ください。
また、PS4/Switch/Xbox版がリリースされています。
死の瞬間へと遡り、60名の身元と死因を明らかにするゲーム
本作の遊び方をざっくり説明すると、どんどん情報が更新される手記を手に船内を捜索し、乗員・乗客60名の身元と死因(生存している場合もあり)を把握するのが目的です。
バトルなどはなく調査や情報の整理を中心とした推理アドベンチャーなので、じっくり考える系のゲームが好きな人にはピッタリ。
私はミステリーものが大好きなので、さながら探偵気分で(実際は保険調査員ですが)ウキウキしながら死体を探していました。
では、誰もいない船内でどうやって探すのかというと……死体を手がかりにします。
まず最初の死体が甲板にあるので、懐中時計をかざすと残留思念が読み取れ、その人物が死んだ瞬間へとワープできます。
死の瞬間は時間が止まっていますが、直前に行われた会話や死体の周辺の調査が可能。
周りに誰がいたのか、死因は何か、どんなことをしているのかなどの情報を集めます。
そしてまた次の死体を探して船内を捜索にというアクションを繰り返し、すべての人物の身元や死因、生存しているならどこにいるのかを明らかにしていくというゲームです。
視覚と文字情報をフル活用し、多角的な視点から行う調査が楽しい!
端的にいって、めちゃくちゃおもしろかったです!
死の瞬間から身元や死因を割り出すというアイディアと、グロさを緩和しながら手がかりを明確に提示したアートの勝利でした!
ミステリーが大好きなので、犯人や死因について考えるという行為そのものが楽しいのですが、本作ではそれを「死の瞬間」と「手記」から割り出すというアイディアが素晴らしい。
一般的なミステリーにおいて、犯人は生存している人への事情聴取や殺人現場を調査して推理、死因は死体や凶器を調べることで明らかにします。
それが本作では死の瞬間そのものを目撃できるので、殺された人物も殺した人物も明白ですし、死因も見れば分かります。
しかし、身元が判明していないため、顔は分かっても名前が分からない……つまり誰が誰に殺されたのかが分からないのです。
目の前に死にかけている人(もしくは死んでいる)や殺人者がいるにも関わらず、その正体が分からないという感覚はとにかく新鮮でした。
また、身元を明らかにする工程も本作ならでは。
本人が死んだ瞬間だけでなく、異なる死の現場に割り出すヒントが隠れていたり、役職や国籍など手記に書かれた情報から割り出せたりと多角的な視点から考える必要があります。
序盤こそ、次から次へとテンポよく死体が見つかることに楽しくなっていましたが、中盤からはオブラ・ディン号に起きたさまざまな事件に圧倒され、終盤になるともう誰が誰だか大混乱になりとにかく頭を捻りましたw
特に死体が全員分見つかってからは、いよいよ個々の人物について観察と推理のみに集中しなければならず、とても60名もの身元を明らかにできる気がしませんでした!w
グロさをカバーしながら、手がかりへと目を向けさせる巧みなグラフィック
本作はとにかく死体がたくさん出てきますし、死の瞬間という衝撃的なシーンを何度も体験します。
あちこち撃たれたり、千切れてしまったり、吹っ飛んだりと一部の人物の死はかなりアグレッシブです。
しかし、すべてのシーンがモノクロのドット絵で表現されているため、ショッキングではあるものグロデスクさは軽減されており、冷静に状況と向き合えました。
(それでも人が死んでいることに変わりはないので、苦手な方はご注意ください!)
また、ドット絵で表現されることで、人の顔の区別が付きづらくなっています。
これが絶妙な効果を生んでおり、荒めのグラフィックのおかげで身元を顔から判断するのではなく、服装や細かな装飾品といったより重要な手がかりへと目が向くようになっているのです。
そのため、つぶさに人物や周りの様子を観察するようになり、結果的として的確な情報の入手へとつながっていました。
アートとしての独自色を出しているのはもちろん、ゲーム性にも合ったデザインになっているというのは素晴らしいアイディアですよね!
私なんかプレイ中に何度も「このグラフィックだからこの手がかりが見つけられたんだ!」と驚きまくってました。
まとめ
死の瞬間からその人物の身元や死因を割り出すという独自の推理手法と、モノクロドット絵のグラフィックがマッチした、怪作かつ傑作アドベンチャーでした。
ひとりで捜査をする静かな作品ですが、序盤のワクワク感から中盤の盛り上がり、終盤の混沌とプレイ感に流れがあるのも良かったですね。
死体がたくさん出てくるショッキングなゲームではありますが、ミステリーや推理が好きなプレイヤーなら絶対楽しめるおすすめの1本です!