レビュー

ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者/うしろに立つ少女 [Switch] 評価・レビュー


『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者/うしろに立つ少女』ってどんなゲーム?

・ファミリーコンピュータ/ディスクシステム向けに発売されたコマンド選択式アドベンチャーゲームのリメイク!
・少年探偵が田舎で起きた資産家殺人事件と、学校で噂される怪異を追う2つの事件を収録。
・面倒なコマンド総当りを動きのある絵とボイスの多さでカバー!本作ならではの楽しさに変換していた!
・試行錯誤中も画面のどこかがアニメーションしているので、物語が途切れることがなくてすごい!
・クリアまで各6時間ぐらいとボリュームが少ないため、お値段はちょっと高い気がする。

公式サイト

ゲームレビュー

本作は、ファミリーコンピュータ/ディスクシステムで1988/89年に発売された、同名のアドベンチャーゲームのリメイク作品です。
ストーリーはそのままにグラフィックやBGMを一新、会話シーンはフルボイスになりました。

「消えた後継者」は、崖から滑り落ちて記憶を失った主人公が、財閥当主の不審死を調査しながら自身を思い出していく前編。
「うしろに立つ少女」は、女子高生殺人事件を追う過程で訪れた学校で「うしろの少女」という怪談が噂になっており、そのつながりを捜査していく後編です。
オリジナル版と同じく、「移動する・聞く・調べる・見る」といった操作コマンドを使ってストーリーを進めていくスタイルで、事件の真相を探ります。

コマンド選択のわずらわしさを「楽しい」に変える演出

本作は、昔懐かしいコマンド選択式というシステムにリッチな演出を乗せることで、より楽しみやすいものに組み替えていた作品でした。
まず、コマンド選択式アドベンチャーおける問題について。
それは物語を先に進めるために「聞く・調べる」といったコマンドを総当りで選択する場面に必ず遭遇することです。
こうした状況は、プレイヤーが知りたいこととコマンド内容が合致していないために生まれ、手当たり次第に選ぶ面倒さが浮き彫りになります。

本作においてもそうしたシチュエーションはありました。
しかし、システムそのものを安易に変えてしまうのではなく、「コマンドを選ぶのが楽しい、試行錯誤している間も楽しい」と感じられるような工夫をすることで、ストレスを独自の魅力に上手くすり替えられていました。

そのひとつがボイスです。
本作では、主人公の独り言や背景をタッチして調査したときのコメントなど、すべての音声がフルボイスです。
これにより、プレイヤーが行ったコマンドに対して必ず音のリアクションが用意されているため、常に選択することに対する新鮮さを感じられました。
なかでも驚いたのが、例えばNPCが「知らないですよ」と同じ返答を返す際、異なるイントネーションが収録されていること。
コマンドを選ぶというより、リアルな人と対話しているかのような自然さを感じられました。

そして、一番しゃべっていた主人公役である緒方恵美さんの演技が最高でした!
セリフひとつで、主人公の生真面目さから、少年のようないたずらっ子な部分まで演じ分けていて聴き応えがありました。
いろいろなリアクションを見たくてコマンドを選びまくり、たびたび事件の調査を後回してしまった探偵は私だけではないはずです。

立ち絵によるベーシックな演出が少なく、動きを持たせてストーリーを途切れさせない

もうひとつの工夫が、圧倒的な物量のグラフィックによるリッチな見栄えです。
アドベンチャーゲームは、キャラクターの立ち絵と表情差分を使ってストーリーを進行するのが基本で、重要なシーンではイベントスチルが入ります。
しかし、本作ではそうしたベーシックな演出があまり見られなかったのです。

例えば、キャラクターをソファや椅子に座らせたり、受付やカウンター内で仕事をさせたり、近くで話しているときは顔がアップになったり。
立ち絵とはちょっとした違いですが、シーンごとに見た目の差があることで、移動のコマンドを選びあちこちを調査する楽しみを生み出していました。

また、プレイヤーがコマンドをあれこれ試行錯誤している間、背景は細かな部分までよく動きます。
駅員さんが掃除していたり、漁船が通ったり、看板がチカチカしたり、おっさんが談笑をしたり。
ちょっとした工夫ではありますが、常に動きのある絵があることで、コマンドを模索している間もストーリーが途切れない感覚がありました。
個人的には、マンションのエレベーターが行き来するモーションの種類がめちゃくちゃ多くておもしろいので、ぜひじっくり見てほしいですw

懐かしい趣きのあるオーソドックスなミステリー作品

アドベンチャーゲームなのにシステム面の話ばかりしましたが、コマンド選択式という古い遊び方を現代でも楽しめるように工夫した結果、本作独自の魅力に昇華できていたとおもいます。
さて、肝心のストーリーについてですが、リメイク作品なのでどこか懐かしい趣きがあり、火曜サスペンス劇場大好き人間としてはめちゃくちゃおもしろかったです!
特に「消えた後継者」は火サス定番の遺産相続争いからスタートして、終盤まで引っ張った謎にも驚きがあり、ミステリーとしてもしっかり楽しめました。
「うしろの少女」は学校が舞台の閉鎖的な話でしたが、事件の外堀りを調査によってじわじわ埋めていく探偵らしい調査が味わえるかなと。
また、どちらも日進月歩で進展があり、ひとつ明らかにされるとまたひとつ謎が増えるといった具合にストーリーのテンポの良さも感じられました。
(あ、犯人が判明して事件は解決するものの、一部明らかにされない謎の現象があるのは気になるかも?ならないですかね?)

唯一気になった点としては、リメイクで各6時間ぐらいのボリュームのため、フルプライスなのはちょっと高い気がしたことですw
オリジナル版をプレイした方もリッチな演出によって新鮮な気持ちで楽しめますし、コマンド選択式に慣れていない初心者にも遊びやすい作りになっていたので、価格的な敷居は下げても良かったかなと。

まとめ

アドベンチャーゲームとしては最高峰のグラフィックと豊富なボイスが楽しめる、とてもリッチな作品でした!
コマンド選択方式の面倒さを感じさせない工夫も多々あり、ストーリー展開のテンポの良さも相まって一気にプレイできるかなと。
少しお値段が気になるところではありますが、アニメやドラマを観ている気分で楽しめる良作です!

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たこ
積みゲーマーです! ジャンルはRPG・アドベンチャー・乙女ゲーが好きですが、とりあえず気になったものは全部やる!! 読みやすくて前向きなレビューになるように心がけています! 連絡先▷info@tsumige.net