『Horizon Forbidden West』ってどんなゲーム?
・機械と自然が融合した独特な遠未来が舞台のオープンワールドアクションゲームの続編
・仲間を軸にしたストーリーが良い!展開はベタだけど熱さがあって盛り上がる!
・ゲーム性に変化はないけれど、オープンワールドゲームに多い孤独な感じがしない作りが新鮮!
・旅の出会いが楽しくなる個性的なNPC、文化圏も豊かにデザインされていて徘徊が楽しい!
・重たすぎないゲームボリュームで、成熟した爽快感のある狩りアクションが楽しめる!
ゲームレビュー
記事の目次
本作は、機械獣が闊歩する遠未来を舞台にしたオープンワールドアクションゲームの続編です。
主人公のアーロイは新たな脅威が潜む禁断の西部に踏み入れ、危機に瀕した大地を救うべく旅をすることに。
敵対する部族や未知の機械獣と戦いながら、やがて世界を脅かす強大な存在と対峙するという物語が描かれます。
なお、前作であるPS4『Horizon Zero Dawn』の感想はこちら。
独自の歴史を歩んだ遠未来の舞台設定がおもしろく、出生の謎を追うストーリーにも引きがあり、楽しくプレイできる作品でした。
仲間の大切さが描かれるストーリーが良い!展開はベタでも分かりやすく盛り上がれる!
まず、シリーズ2作目ということで、基本のゲームプレイはアップデート版。
新しい舞台でおなじみの狩りアクションをしながら、世界を巡る旅をするといった感じなので、あまり期待しないでスタートしました。
しかし……終わってみれば、めちゃくちゃおもしろかったです!
ストーリー系のサブクエストをなんだかんだと全部クリアしちゃって、60時間ぐらいでエンディングにたどり着きました。
プレイ中は、序盤から「あれ?これ結構良くない?」とそわそわしていたのですが尻上がりにおもしろくなり、いまの心境は次回作への期待でいっぱいです。
では、基本の遊び方は変わらないけれど、なんでそんなの楽しかったのでしょうか。
それはずばり……ストーリーが最高だったからです!
なお、以下は少し物語のネタバレがあるため、苦手な方は次の見出しまでスキップしてください。
さて前作の物語は、異端者として避けられていたアーロイが自身の出生の謎を追うというミステリー要素を軸に、原始的な遠未来という世界観を魅力を見せるという内容でした。
やや説明調なところはあったものの、「アーロイのお母さんって誰なの?」「どうしてこんな世界になったんだろう?」という引きがあったので、終始勢いを持ってプレイできました。
では本作はどうかというと、アーロイが世界を救うために「仲間」を作り、精神的に成長していくストーリーが語られます。
これがとにかくおもしろかった!
ひとりぼっちで戦っていた主人公が優しい仲間たちと出会い、自分に足りないものに気がついて変化するという物語は、展開としてはベタです。
しかし、何を見せたいのかがはっきりしているため、盛り上がる場面に共感しやすく、プレイヤーは主人公と一緒に驚いたり悲しんだり感動しながら前作よりも楽しくストーリーを進められました。
また、そもそもどうやって世界を救うのかというお話が気になるので、移動が多いオープンワールドゲームにおいても飽きずにプレイできたのも好印象です。
個人的には、異なる部族をまとめあげて世界の危機と戦うという展開が、映画「インディペンデンス・デイ」的な熱さがあってそれだけでテンションが上がりましたw
オープンワールドだけど孤独を感じないのも新鮮!
ストーリーを通じたアーロイの成長を感じられるよう、ゲームシステムとしても物語が進むにつれてだんだんと仲間を意識できる作りになっていたことも高評価につながりました。
例えば、アーロイの拠点に仲間が集まってくるという要素。
オープンワールドゲームは世界を旅しながら人々と出会い、問題を解決していくという作りが多いのですが、本作には拠点があるので「ここに帰ればみんながいる!」という安心感がありました。
地に足をつけて冒険するという感じで、強大な敵を前にしても「なんかやれそうな気がする!」と前向きな気分でプレイできたのも良かったです。
また、ひとりで旅しているのに孤独な感じがしないというのは新鮮で、拠点が徐々に賑やかになるのもモチベーションにつながりました。
賢く強い魅力的な主人公のアーロイ!NPCも個性的でサブクエストが充実!
アーロイが前作の冒険を経て、より素敵なキャラクターになったことも良いポイントでした。
主人公といえば、ストーリーに起伏を作るために人の話を聴かなかったり問題をややこしくしたりと、少し暴走しがちな描かれ方をするケースもあります。
しかし、アーロイは大変な状況やイラッとくる厄介な相手を前にしても、怒るけれどスッと冷静になってくれるキャラクターです。
そのため、テンポよく話が進みますし、それでいて自分の意見もしっかり言葉にして伝えてくれるので、何を考えているか分からず置いてけぼりになることもありませんでした。
前作では未熟さや未知への好奇心によるアグレッシブさがありましたが、一歩引いて本作では良いリーダーとしての側面も見られたことも成長を実感できてうれしくなりましたね。
また、サブストーリーで出会うNPCもなかなかに曲者揃いです。
見た目や性格によるインパクトはもちろん、抱えている問題を解決する過程でたくさん話をするので、なにかと思い出に残ることに。
そして、イベントが終わった後もそこに居続けるキャラクターもいるため、世界のあちこちに仲間がいる感じになりました。
オープンワールドゲームはみんなの生活にお邪魔する異邦人という気分でプレイすることが多かったのですが、本作では自分の家があちこちに存在するような温かい気持ちになれるのも新規性を感じられた部分です。
このように仲間を通じて成長するアーロイの物語の描かれ方が良かったこと、そして仲間の存在を感じられるような作りだったことが、単なる続編ではなくめちゃくちゃおもしろいストーリーが楽しめる作品にパワーアップさせていたとおもいます。
個人的には「みんなで協力して敵を倒すぞ!」という終盤の展開が、定番ですがめちゃくちゃ好きなので、とにかく盛り上がったのが楽しかったです。
(あと、ずっとなんとなくイラッときていた某キャラクターの株が、ラストで無駄に爆上がりました……いい笑顔しやがってw)
機械と自然が融合した独自のアートと文化圏が描かれ、旅の出会いが彩り豊かに!
それでは最後に、ストーリーやキャラクター以外の部分をざっくり総括してお伝えしていきます。
本作はオープンワールドゲームとしては程よいボリュームで、同ジャンルに慣れた人なら手軽にプレイが可能です。
また、最初から広大なエリアに放り出されるのではなく、チュートリアルも兼ねて徐々にマップが広がるため、オープンワールドゲームをあまり遊ばない人にも入っていきやすい作りだと感じました。
そして「Horizon」シリーズの魅力は、なんといっても圧倒的な個性を放つ「狩猟×遠未来」という世界観です。
機械と自然が融合したアートは素晴らしく、前時代的な文化とホログラムなどの技術が融合した独特の文化圏が作られているのも見どころ。
なかでも私が好きだったのは、部族ごとの個性です。
戦いが好きな部族は滅んでしまったアメリカ軍を信奉してフェイスペイントも派手、農耕民族は機械と共存して体格も細く入れ墨は繊細なデザイン、商人や鍛冶屋は作業や発掘に向いた機能性重視の格好でたくましく機械に立ち向かうなど。
地域や集落によっても明確なちがいが感じられるので、旅の出会いも楽しみな要素のひとつでした。
機械獣は前作からの続投も含めて種類が増加したため、狩りは楽しくなりました。
部位破壊時の音やエフェクトの爽快感もバッチリ。
私はひたすら弓を撃ちまくる戦い方でしたが、武器の種類も増えたので、トラップを駆使したテクニカルな戦い方や近距離での立ち回りなど、よりバリエーション豊かに戦えるようになっていたとおもいます。
また、PS5版をプレイしたのですが、新アクションのグラップルや点火装置による壁爆破は、振動やトリガーが重くなる効果が気持ちが良くて、ついつい寄り道したくなりました。
高所から滑空できるシールドウィングも便利。
なおかつ、ここはシールドウィングを使って移動することで景色の美しさを見せるという演出もあり、ユーザーに対するサービス精神が感じられました。
おわりに
仲間をテーマにしたストーリーが熱く、孤独じゃないオープンワールドの旅も楽しく、終わってみれば傑作になっていたタイトルでした。
独自の世界観を感じられる文化やグラフィックの作り込み、アクションやグラフィックのパワーアップなどもプレイしているときの体感をアップさせていたとおもいます。
なお、本作は単体で物語が完結していますが、主要人物は前作からの続投も多いため、個人的には『Horizon Zero Dawn』をプレイしてからの方がより楽しめると感じました。
(ちなみにゲームの冒頭におさらいがあるものの、おっさんが雑なナレーションで説明するので、内容はあまり理解はできませんw)
エンディングは明らかに次がありそうな終わり方でしたが、本作のお話がめっちゃ良かったため期待しながら待っていようとおもいます!