『ゴッド・オブ・ウォー』ってどんなゲーム?
・新しいストーリーとゲームシステムになった、神話アクションアドベンチャーの最新作!
・バトルは息子と連携しながら、ガードやスキルを使ってしっかり戦う系に!
・敵のバリエーションが少なくボス戦の熱さもダウン。バイオレンス描写は控えめ
・フィールド探索が豊富!収集要素も多くやりごたえあり
・筋骨隆々のおっさんがちまちま仕掛けを解くのは、個人的に違和感ありw
ゲームレビュー
記事の目次
本作は新たな舞台とゲームシステムを備えた、人気の神話アクションアドベンチャーのシリーズ最新作です。
物語は、ギリシャ神話世界での戦いを終えた主人公のクレイトスさんが、北欧の地で新たな家族と暮らしている場面からスタート。
相棒である息子のアトレウスとともに、北欧神話の世界で戦いに身を投じていきます。
なお、彼にどんな過去があったかはふわっと知っておくとより楽しめますが、ゲーム内でもたくさん語られるのでシリーズ未経験のプレイヤーでも問題なく楽しめるとおもいます。
ゲームシステムはステージクリア型のアクションから、フィールド探索や育成要素が加わったアクションアドベンチャーに変更されました。
なお、クレイトスさんが神さま相手に暴れまくった前作、PS4『GOD OF WAR III Remastered』のレビューは下記に。
ハイパーアドレナリンが出まくる作品だったので、血に飢えている方はぜひプレイしてください。
ただし、三部作の最終作品なので、これだけプレイすると展開が分からないこともありますが……まぁそんなことより殴っとけ!というゲームなので気にしなくてもオッケーです。
パパになったクレイトスさん!戦い方は丁寧に、暴力描写は控えめに
前作までは、神さまをちぎっては投げたり、捌いたりもいだりしてきたクレイトスさん。
本作ではCERO Zなものの、そうしたバイオレンス感満載のアクションは鳴りを潜めています。
そう、本作のクレイトスさんは復讐のために神を殺しまくる男ではなく、妻の遺言を叶えるために息子と旅をするパパなのです。
というわけでゲームの雰囲気もガラッと変わり、ひたすら戦うアクションから、移動や探索がメインのアクションアドベンチャーになりました。
バトルも巨大な敵と大迫力の演出で戦うのではなく、しっかり回避やガードをしながら弓でサポートしてもらう、という丁寧な戦術を用いるようになりました。
個人的に、本シリーズはダイナミックに戦うのが好きだったので、筋骨隆々のおっさんがちまちまと探索するプレイ感には違和感がありました。
しかし、探索や育成にやりごたえをもたせるという新しい方向性に挑戦することは、シリーズを停滞させないという意味で良い挑戦だとおもいます。
豊富なフィールド探索要素!もう少し豪快さがあればシリーズらしさが感じられたかも
本作をプレイして一番大きく変わったと感じたのは、フィールド探索要素が増えたこと。
小舟を使ってワイドリニアなエリアを移動できるので、自由度の高い冒険が楽しめるようになりました。
探索できる場所も背景に溶け込むように用意されており、自力で登れる壁を見つけたり宝箱を発見できる感じがする点も良いポイント。
収集要素も多く、ストーリー進行に合わせて前行けなかった場所が開放されるといった要素もありました。
マップは決して広くないものの、充実した探索ライフが送れるとおもいます。
仕掛けも前シリーズより複雑になり、タイミングを図って斧を投げたり、順番に鐘を鳴らすといったパズル要素が強化されました。
ちょっと頭を使う場面やタイミングアクションも要求されるので、ついムキになってがんばってしまうことも。
こうした探索で得られるアイテムはHPアップ、武器・防具の育成素材、アクセサリーなど、直接クレイトスさんの強化につながるものばかりなので、モチベーション高くあちこち徘徊できました。
ただ、ムキムキのおっさんが几帳面に斧を投げて細々とした仕掛けを解く、という姿にはやや違和感があり。
もっと豪快なアクションを使った探索が見られれば、より本シリーズらしさを感じられていたようにおもいます。
バトルは攻防や連携を重視!敵のバリエーションが少なく、死闘感も弱め
バトルは巨大な神々と戦うイベント的なものから、まぁちょっと大きいなぐらいの敵と戦うスタイルに変更。
ザコ戦も無双でなぎ倒しまくっていた前シリーズに比べ、回避やガード崩しといった攻防が重要になった印象がありました。
メイン武器は2種類と減りましたが、獲得できるスキルは大幅に増え、ツリー形式で自分のスタイルに合わせて獲得できるように。
武器に装備できるルーンアタックという必殺技と合わせて、近・遠距離どちらも主体にして戦える自由度は魅力だとおもいます。
また、息子のアトレウスもバトルに参加。
クレイトスさんが斧や物理で敵を殴りまくり、息子が弓矢やナイフで援護するという連携が楽しめます。
ちなみに、息子は見た目のわりにめちゃくちゃ強くて、ザコ・ボス戦ともに必須の戦力になっていました。
気になったのは、敵のバリエーションが少ないこと。
特にボスが柱を持ったトロールタイプの敵ばかりで、攻撃パターンにちがいはあれどマンネリ感がありました。
前作までは神々や巨人などインパクトに残る敵との戦いが多く、1戦1戦が死闘で盛り上がっただけに、そうしたテンションの上がる印象的なバトルが減ってしまったのは残念なポイントです。
あと、武器・防具のクラフトについても。
各素材の希少度は分かるものの集め方が分からず、いま素材を消費して装備品を強化するべきなのか迷ってしまうのはストレスでした。
特に本作は装備品のレアリティをあげないとクレイトスさんたちが強くならないため、もう少し手軽に育成できたら良かったとおもいます。
父と息子の成長物語を描く、シリーズで最もしっかりしたストーリー!
前シリーズまでは、基本出会ったやつは皆殺しスタイルの冒険だったので、ストーリーはあってないようなものでした。
本作でもメインストーリーは行きあたりばったり感のある旅でしたが、復讐者だったクレイトスさんがパパになれるのか、という息子との交流や成長に主眼をおいた話としてはしっかりしていたとおもいます。
シリーズ経験者は、クレイトスさんがぶきっちょで寡黙だけどがんばってパパしようとしているので、ほっこりすること間違いなしですw
また、いろいろなゲームで子どもと一緒に冒険をしてきましたが、アトレウスは生意気さはあるもののとても素直で好感の持てる少年でした。
彼は物語の進行に応じて、少しずつできることが増えていきます。
攻撃手段も弓矢だけだったのが近接戦闘にも参加、宝箱をいっしょに開けるといった変化があり、成長を感じられてうれしくなりました。
特に仕掛けを解く際にはとても役立ち、何より文字が読めるのでクレイトスさんよりしっかりしている感すらありましたw
2人の交流はストーリーパートに限らず、壁を登るときに息子が背中にひょいっと乗るのがおサルの親子みたいで可愛かったり、細い通路は譲り合って進んだりと、探索時にも見られてこだわりを感じます。
ただ、メインストーリー終盤のまとめ方は相変わらず雑で、続編が前提の終わり方である点は気になりました。
ラスボスとの戦いもあまり盛り上がらず、前シリーズでは大きなことを成し遂げて(しでかしての場合もありましたがw)エンディングを迎えていましたが、そういった感じはありませんでした。
とはいえ、ムービーシーンからシームレスに探索・バトル画面に移行するため、途切れることなくドラマチックに物語が展開していくのはとても良い演出でした。
グラフィックの美しさも素晴らしく、キャラクターの細かな表情変化から自然豊かな北欧の風景など、見応えは十分。
PS4のタイトルとしては、文句なしに最高峰のクオリティだとおもいます。
雪山や神殿、木々の生い茂る深い森、ヨルムンガンドが佇む大きな湖など、雄大な神話の世界を感じられる旅が満喫できるでしょう。
ゲームボリュームは、サブクエストや探索をほどほど行ってクリアまで30時間弱だったので、がっつり遊べるかなと。
おわりに
新しいゲームシステムに対する相性はあるものの、アクションアドベンチャーとしてはしっかり探索・育成要素があり、バトルの歯ごたえも感じられる作品でした。
美しいグラフィックで描かれる物語をたっぷりボリュームで遊べるゲームなので、気になっている方はぜひプレイしてみてくださいね。
なお、ストーリーはめちゃくちゃ気になる終わり方でしたが、続編であるPS5/PS4『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』が11月8日に発売されます。
終焉をもたらすラグナロクがテーマになっているので、本作では少し物足りなかった規模感もパワーアップし、より豪快なバトルができるのではと期待しています!