レビュー

Voice of Cards ドラゴンの島 [Switch] 評価・レビュー


『Voice of Cards ドラゴンの島』ってどんなゲーム?

・キャラクターもフィールドも、すべてがカードで表現されたTPRG風のRPG。
・ヨコオタロウ的なエグいダークさを期待すると、物足りなさと既視感にもやっとするストーリー。
・バトルはシンプルな戦略性で遊びやすいが、中盤以降は単調に。
・ゲームのテンポは人を選ぶスローペース。バトルのエンカウント率が高い。
・落ち着いたナレーションと雰囲気抜群のBGMは最高!

公式サイト

ゲームレビュー

本作は、剣と魔法のファンタジー世界をすべてカードで表現した、アートに個性が光るRPGです。
お金にうるさい自称勇者と仲間たちが復活したドラゴンを倒す物語は、テーブルトークRPGのようにゲームマスターの声(安元 洋貴さん)によるナビゲーションで進行します。
開発スタッフは「NieR」シリーズや「ドラッグ オン ドラグーン」シリーズに携わった、ヨコオタロウ氏・岡部 啓一氏・藤坂 公彦氏。
どこか懐かしくも切ない音楽が流れる落ち着いた雰囲気のなか、のんびり探索やバトルを楽しめる作品です。

なお、本編の前日譚が描かれる体験版も配信中。
プレイサイクルはこちらからわかるので、ゲームシステムやテンポ感が気になる方はまずはプレイしてみるのがおすすめです!
なお、本作はPS4/Switchなどで発売されています。

薄味のヨコオタロウ。展開の驚きもエグいダークさも弱い

私は元々、『ドラッグオンドラグーン』でフェアリーに罵られたり子どもを捕食しているヨコオタロウで育ったため、結構エグくてダークなシナリオが好みです。
起承転結の結の部分で「あーぁ……」となるのが同氏の魅力であり、その後味の悪さが最高だと考えています。
そのため、最近関わった『SINoALICE -シノアリス-』や『NieR Re[in]carnation』では物足りなさを感じていたのですが、本作はそれらに近い薄味のヨコオタロウでした。

まず、メインストーリーは序盤から悪い意味で先が読めてしまい、流れもオーソドックスすぎる感じ。
「NieR」シリーズで見たような展開や設定も多く、終盤の驚きもありませんでした。
個々のキャラクターに対しては、出会いに関わるエピソードと不幸体質や筋肉自慢といった雑な設定のみ繰り返し描写されるため、心情などの掘り下げがあまりされず。
ゆえに、最大の共通目的である「ドラゴンを倒したい」という動機が理解しづらいものとなっていました。
旅を通じて互いを理解し合うといったシーンもないので、盛り上がるであろう仲間同士が協力する場面の熱さも薄かったかなと。

安元さんのナレーションによって進行する物語は、落ち着いた雰囲気が心地よいものの、語られる内容には問題あり。
プレイヤーはダークなストーリー・エグい世界観・重たいキャラクターの動機といったものに興味があるのに、筋肉ネタをしつこく使い回すなど寒いテイストになっていました。

楽しみたいものが楽しめないもどかしさはありましたが、コレクション要素であるカードに書かれたストーリーはおもしろかったです。
先述のとおり、本作はキャラクターやモンスターがすべてカードで表現されていますが、これは表と裏にちょっとした物語が書かれています。
「ドラッグオンドラグーン」や「NieR」シリーズでおなじみのウェポンストーリーをもっと短くしたような内容で、裏面は一定条件を満たすと開放。
ここには「お!」と感じさせるダークなストーリーもあり、読むために何度もバトルを行うなどプレイのモチベーションになっていました。
メインストーリーもこうした後味の悪さがもっとあれば良かったのに……。

シンプルなターン制バトルはほどよい戦略性が楽しいが、中盤以降は単調さが目立つ

『Voice of Cards ドラゴンの島』の戦闘は、ボード上で行われるTCGのようなターン性バトルです。
バトル中に使用するスキルをカスタマイズしたり、編成を考えたりとRPGとしてはシンプルですが、私は遊びやすくて良かったとおもいます。
なかでもスキルは、毎ターン追加される「ジェム」を消費して発動するのですが、効果の高いものほど使うジェムが多いので、誰がいつどのスキルを撃つのかと考えるのが楽しかったですね。

ただ、基本的にプレイヤーが考えることがずっと同じなので、中盤以降のバトルでは戦略の単調さが気になりました。
属性相性や状態異常といった効果はあるものの、ジェムの管理をして強力な技をぶっ放すのが正となっているため、毎回同じようにジェムを溜めて同じスキルを撃つの繰り返しになるからです。
さらには後述しているエンカウント率の高さも影響しているかなと。
バトルのシステムがシンプルなだけに、高頻度で繰り返せるほどの強度がないのだとおもいます。
なお、バトルの難易度は調整できないものの高くはないので、ある程度敵を倒しながら進めば誰でもクリアできるレベルでした。

全体的にゲームのテンポが悪い。エンカウント率も高い

本作は、メインストーリーをクリアするまで10時間弱。
落ち着いたトーンのナレーションとBGMが心地よく、ちょっとウトウトしたりもしたので、ゲームボリュームとしてはこれぐらいでちょうど良いとおもいます。

ただ、ゲームのテンポはTPRGを意識しているのか全体的にスローでした。
イメージ的には、カードをめくったりプレイヤーの駒を動かしたりする挙動が、人が実際に操作している感じのペースで進みます。
穏やかな雰囲気の本作にはピッタリですが、設定で変更ができないため、さくさく進めていきたいプレイヤーにとってはストレスになると感じました。
(最新アップデートで高速にできるオプションが追加されました!)

むしろ私が気になったのは、バトルのエンカウント率の高さ。
本作ではカードをめくることでマップがオープンしていきますが、裏側になっていたら表にしたくなるのが人の性。
多くのプレイヤーが片っ端からめくりたくて歩き回るものの、高頻度でバトルが発生してしまうのは探索の楽しさを阻害しているとおもいました。
バトル自体のテンポも悪いため、ささっと終えられないというのもストレスかなと。
特にダンジョン内は数歩動くともうバトルが発生してしまうので、プレイ時間の7割ぐらい戦っていたような印象があります。

おわりに

落ち着いた音楽やTRPG風のゲームシステムは特徴であり魅力ですが、ヨコオタロウ的なエグいストーリーを期待すると物足りなく、ゲームテンポの悪さも気になった作品でした。
本作の雰囲気は体験版でも感じられるので、まずはさくっと触ってみるのをおすすめします。
また気になっている方は、アップデートでゲームスピードを上げられるオプションが追加されたので、体験版をプレイしてから本編に進むのが良いとおもいます。

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たこ
積みゲーマーです! ジャンルはRPG・アドベンチャー・乙女ゲーが好きですが、とりあえず気になったものは全部やる!! 読みやすくて前向きなレビューになるように心がけています! 連絡先▷info@tsumige.net