『レイジングループ』ってどんなゲーム?
・人狼ゲームをモチーフにしつつ、伝承や伝記といった和風の世界観を組み合わせたアドベンチャー
・とにかく先が気になる物語、4種類のエンディングクリアまで一気にプレイできる!
・人狼ゲームの仕組みも上手に生かし、ルートごとに特徴のあるシナリオやキャラクター・雰囲気を描く!
・ボリュームは多めですが軽妙な語り口なので、終始テンポよく楽しめるのも魅力!
ゲームレビュー
記事の目次
本作は、会話と推理で楽しむ対人ゲーム「人狼ゲーム」をアレンジした、和風ホラーサスペンスアドベンチャーゲームです。
バイク旅行者の青年である主人公は、山中で迷子になり、隔絶された集落を訪れます。
そこでは、住民を殺して入れ替わっている「おおかみ」を処刑するという奇妙な儀礼が行われており、よそ者である彼も巻き込まれてしまうという物語です。
人狼ゲーム×伝奇、新感覚の秀逸ミステリー!
人里離れた田舎の集落を舞台に、命を賭けた人狼ゲームが描かれる本作。
ただ、ゲームのルールについては作中で十分に説明されますし、本作ならはの世界観で語られるため、人狼ゲームをまったく知らなくてもちゃんと楽しめます。
(ちなみに、誰を吊るすか選択する機会はあるので、人狼ゲームらしさもちゃんと味わえますよ。)
さて、感想ですが、とにかく先が気になる物語で、すべてのことを諦めて夢中で読み進めてしまいました!
誰が人狼なのかといったミステリーはもちろん、田舎の村にありそうな伝記や伝承から生み出される神がかり的な恐怖も描かれており、ルートによって徐々に明らかになる世界の全体像にわくわくしながらプレイできました。
人狼ゲームの仕組みも上手にシナリオに反映されており、最初から最後まで秀逸という一言に尽きる作品でした。
エンディングは4種類とおまけが2つ、バッドエンドは27種類。
ゲームプレイ時間は計測していなかったのですが、かなりがっつり読みごたえがある長編かなとおもいます。
シナリオチャートがあるのでルート管理が手軽で、複数ある選択肢の周回もスムーズ。
「KEY」というシナリオロック機能があり、特定の情報を取得するとルートが解放されます。
一度手に入れたらずっと解放されているため、選択の順序に縛られず、自由に選べる点もストレスフリーでした。
軽妙な語り口が心地よく、ルートごとの差分もしっかり!
シナリオはフルボイスで、文体は主人公のライトな一人称なので読み進めやすい作品でした。
巻き込まれ型ではありますが、主人公は妙に冷静なところがあり、ほどよく状況に流されつつ、時にはコントロールする巧みさもあり、行動にやきもきすることなく気持ちよく物語に没頭できるのもいいですね。
ルートによって、キャラクターや世界観の雰囲気ががらっと変わるのも魅力。
緊張感のあるルートやホラー要素の強いルート、前のルートでは仲間だったのに次は敵対視されているなど、同じ舞台でも飽きさせない工夫がしっかりなされていました。
また、ギャグテイストのバッドエンドも用意されており、ほっと息抜きがてら読めるのもいいさじ加減でした。
キャラクターはそれぞれクセがあり、初見では面倒だなと感じる人もちらほら。
しかし、それがいい意味で人狼ゲームや世界の仕組みをややこしくしており、最後に紐解いていく様は爽快感がありました。
大事なシーンではイベントスチルもあり、見ごたえも十分です。
やりこみ要素も十分!システム面にも不備はなし
やりこみ要素としては、ボリュームたっぷりのエクストラシナリオが5本。
特定のシーンを異なる視点から楽しめる「暴露モード」も追加されるので、ここまでプレイすれば本作を余すことなく体験できるかなとおもいます。
システム面では、アドベンチャーゲームに必要な基本的な機能はそろっていました。
ゲーム冒頭でとても丁寧なチュートリアルもあるため、アドベンチャーゲーム初心者でも遊びやすいかなと。
また、残虐表現については、メニューからオフにすると該当箇所の文章が伏せ字になります。
スチルは血がどばーっと出るようなグロデスクなものはありませんが、ホラーな雰囲気を全力で醸し出すものはあったので、苦手な方は身構えておかれるとよいかとおもいます。
さいごに
軽妙な語り口と人狼ゲーム・伝承を生かした世界観とキャラクター、それらを描ききったシナリオが最高だった傑作アドベンチャーゲームでした。
人狼ゲームを知らなくても大丈夫、やったことなくても問題なし。
ルートごとのちがいもおもしろく、周回を重ねるごとに物語に没入していけるので、アドベンチャーゲームがお好きな方にはぜひプレイして欲しい1本です!