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Detroit: Become Human [PS4] 評価・レビュー

『Detroit: Become Human』ってどんなゲーム?

・近未来の米デトロイトを舞台に、アンドロイドの自我や存在のあり方を問うアドベンチャーゲーム
・とにかく心に刺さる展開が多く、次から次へと決断が迫られるので苦しい!
・フローチャート式なので周回プレイもやりやすく、QTEが苦手なユーザー向けのモードも用意
・グラフィックは実写クオリティ。実際にありそうな近未来のガジェットもたくさんレイアウトされているので、風景を眺めるのも楽しい!
・どんな決断をしてもエンディングまでたどり着けるので、最初の1周はぜひ自分の心のままに選択をして結末を迎えてください!

公式サイト

ゲームレビュー

本作は、2038年アメリカ・デトロイトを舞台に、社会にとって必要不可欠な存在となったアンドロイドと人間の未来を問うアドベンチャーゲームです。
開発は、『HEAVY RAIN 心の軋むとき』や『BEYOND: Two Souls』で、プレイヤーのメンタルをゴリゴリ削っていくドラマチックな物語に定評があるクアンティック・ドリームさん。

近未来のデトロイトでは、人工知能やロボット工学の発展により、人間と同等以上の外見・知性をそなえたアンドロイドが誕生します。
さまざまな仕事を行えるアンドロイドの存在により人類は豊かさを手に入れますが、一方で仕事を奪われる人々も生まれ、反感の機運も高まっていました。
そんななか、自ら意思を持つかのように行動しはじめる「変異体」と名付けられたアンドロイドが出現し始めます。

プレイヤーは、変異体捜査のスペシャリストであるコナー、幼い少女と逃亡をする女性型アンドロイドのカーラ、アンドロイドの自由と革命を目指すマーカス、という3体のアンドロイドの視点からさまざまな出来事を体験していくという作品です。
随所に訪れる選択肢によって物語や展開が分岐、何が起きてもエンディングまでたどり着けるのが特徴です。

1周目は自分の心の導くままに、自由に物語を描こう

まずはじめに、本作をプレイする方に絶対におすすめしたいのは、最初の1周はとにかく自分のやりたいようにやることです。
このゲームは、プレイヤーが選んだ選択肢によりルートが分岐しますが、特定のキャラクターが死亡しても物語は進んでいきます。
(それはつまり、メインキャラクターが死亡してもエンディングまでストーリーが続いていくということです)
大まかな共通の展開はありますが、そこに至るまでの過程によって細かくルートが分岐するため、10人のプレイヤーがいれば10通りの物語が描かれるのです。

本作最大の魅力は、プレイヤーが選択し、その選択によって自分だけの物語が生まれることにあります。
ゆえに、ぜひ最初の1周は自分の心のままに選択をし、自分だけの人間とアンドロイドの未来にたどり着いてほしいですね。
余談ですが、私は3体のアンドロイドのうち、2人はとんでもないエンディングを迎えてしまいましたw
それでも2周目以降に観たどのエンディングよりも、一番印象的で気に入っていますよw

あ、1周クリアは12時間ぐらいで、すべての分岐を埋めようとおもうと30時間程度かなと。
クリアした人同士で、お互いの物語を比較しあってみるのもおもしろいので、ぜひ布教してください!

常に決断が迫られる、ドラマチックで心に刺さるシナリオ

本作では、立場が異なる3体のアンドロイドの視点から、人間とアンドロイドの未来を語っていきます。
コナーはバディで事件を追う刑事モノ、カーラは少女との心の交流を描いたハートフルっぽい話のようで実は一番ハードな展開が多く、マーカスはSF大作のようなドラマチックなシチュエーションが多く見られました。
個人的には、コナーは面倒くさい相棒のハンクとの関係性がおもしろくてイチオシ、カーラはアクションは少ないもののメンタルを削ってくるシーンが多くて緊張感があり、マーカスは世論を巻き込んだ壮大さと聖人のような穏やかな性格のギャップが楽しかったですね。

チャプター制で視点が切り替わりながら物語は進行しますが、三者三様のシチュエーションで選択が迫られるため、緊張感の質が変わり、常に気持ちの上下を感じられました。
ドラマチックなカメラワークも物語を効果的に演出しており、キャラクターや世界への没入感も高くプレイできるとおもいます。
さらに、後半にいくにつれて、ひとつの決断が重大な結果を招くので、プレイヤーはもれなくキャラクターと一緒に悩み、苦しめますよw

プレイヤーの選択は、主人公だけでなく、周りのキャラクターたちの心情も変化させます。
それぞれが抱える思考や心の機微が繊細に描かれるため、複数のキャラクターに感情移入していく感覚に……。
終盤になると、プレイヤー自身がいろいろなキャラクターの思いを背負ってしまっているため、決断が重たい重たいw
海外のアドベンチャーゲームはよく「映画をプレイする」と言われますが、本作の場合、とにかく暇さえあればプレイヤーに選択を求めてくるので、自分で映画を作っていくようなゲームプレイという印象でした。

フローチャート式で、分岐回収がしやすいゲームシステム

選択肢はチャプターごとにフローチャートで表示されるので、周回プレイ時の目標がとても見えやすく、網羅的にプレイしやすいとおもいます。
さらに、チャプター途中から再開もできるのえ、「あのとき別の決断をしていたら……」という、起こりえた別の未来へのルートにもいきやすいですね。

シーンスキップや早送りはないので、周回プレイには少し手間がかかります。
ただ、1週プレイするともれなく気持ちがずーんとなりますし、大きな決断が早送りで再生されてしまうのも雰囲気を概してしまうので、私は本作のスタイルでよかったのかなと。
そうそう、フローチャートを埋めていくとポイントを獲得し、世界観をより深く知られるムービーやグラフィックなどのコンテンツがアンロックできました。

システム面では、アクションシーンがQTEで、失敗すると即死亡する場合も多いため、苦手な方は操作がシンプルなCASUALをおすすめします。
直感的な操作で、より世界観に没入したい方には、EXPERIENCEでぜひ。

地続きの現実味がある、近未来世界を描いたグラフィック

グラフィックは実写と見紛うほどに美しく、キャラクターのふとした表情の変化も描かれるため、どんどん世界に引き込まれていく感じがありました。
特にアンドロイドは、変異体になっている者といない者の間で明確な差があるので必見です。

近未来の街並みは興味深く、バス停や商品のネオン広告、ビルの入場ゲートなど、自然にレイアウトされたガジェットを観察するのもとても楽しめました。
あまりにも未来すぎないデザインなので、「実際にこんな未来になりそう!」と感じられるのも、本作ならではの世界から感じられる魅力です。
また、お皿を洗ったり、食事を出したりといった日常生活のアクションもあるので、アンドロイドがいる近未来の日々を味わえるのも新鮮味がありました。
こうした現実と地続きの未来のような雰囲気があるからこそ、より決断に重みを感じられるのかもしれませんね。

さいごに

ドラマチックなシナリオ・自分だけの物語を描けるゲームシステム・細部まで丁寧にデザインされた近未来のグラフィックと、まさにアドベンチャーゲームの最高峰といえる傑作でした。
アドベンチャー好きの方にはもちろんですが、普段このジャンルを遊ばない方にもおすすめできるクオリティの高い作品だとおもいます。

なお、PSストアでは現在体験版が配信されており、物語冒頭のチャプターが楽しめます。
プレイヤーはアンドロイド捜査官のコナーとなり、暴走したアンドロイドの人質解放交渉を行うシーンです。
とにかくめちゃくちゃ緊張しますし、本作の世界観やゲームシステムをぎゅっと詰め込んだ章になっているので、気になっている方はぜひプレイしてみてくださいね!

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たこ
積みゲーマーです! ジャンルはRPG・アドベンチャー・パズルが好きですが、とりあえず気になったものは全部やる!! 読みやすくて前向きなレビューになるように心がけています! 連絡先▷info@tsumige.net