『THE QUIET MAN』ってどんなゲーム?
・「1周目は字幕・セリフ・音楽による情報伝達がなく、2周目でそれらが追加されて物語の真実が明らかになる」という挑戦的な試みのシネマティックアクションゲーム
・この仕掛けそのものは良かったけど、とにかく1周目のプレイが苦行!
・操作性とカメラワークの悪いバトル、そして音がはっきりと聴こえない演出も相まって、めちゃくちゃ酔う!
・2周目の真実にあまり大きな驚きがなく、1周目の努力が報われない
ゲームレビュー
本作は、文字や音楽による情報がなく、起こっている出来事からストーリーを考察するシネマティックアクションゲームです。
ニューヨークのナイトクラブを舞台に、歌姫ララが仮面の男に誘拐され、ギャング・警官・クラブのオーナー、そして耳の聴こえない主人公が織りなす一夜の物語が描かれます。
ゲームは、実写のストーリーパートとバトルアクションが行われるCGパートで構成。
さらに、1周クリアすると字幕と音を追加した、真実のストーリーが2周目としてプレイできます。
物語に関する情報を制限しすぎて、内容がさっぱりわからない
「字幕・セリフ・音楽による情報伝達を使わずにストーリーを描く」という試みはおもしろかったのですが、演出が極端すぎて物語が伝わりづらかったとおもいます。
特に違和感があったのは、主人公は読唇術によって会話を理解できているにもかかわらず、その部分の字幕もなかったこと。
ゆえに、主人公の行動や目的、周りで何が起きているのかを多くのプレイヤーは理解できないまま、事態が進んでいってしまいます。
少しでもストーリーが伝われば、わからないことに対して知りたいというモチベーションにもなります。
しかし、本作の演出では情報を伝えなさすぎて内容がまったくわからず、それにより「字幕のある大事な2周目をプレイしたい」というやる気を損なってしまう悪循環を引き起こしていました。
また、個人的には、1周目の音響演出がとにかく酔いました。
耳の聴こえない主人公とシンクロさせるために、すべての音が水中のようなぼわぼわした感じになっていたのですが、普段聴きなれないぼやけた音が常に耳に入ってくるのでかなり不快感がありました。
(パンチやキックの打撃音、自分の足音、登場人物の音声など、すべてがもやっとした音になっていて、地に足がつかないような不安さがある感じです)
1周クリアまでは3時間ぐらいでしたが、バトルのカメラワークが悪いことも相まって、中盤以降は酔いと戦いながらのプレイになりました。
説明不足でカメラワークが悪く、不自然な動きのバトルアクション
バトルアクションはとにかくストレスがたまる作りになっていました。
少なすぎる操作説明、雑な当たり判定、単調な攻撃方法など、2周プレイさせる想定にしては作り込みが甘かったと感じざるを得ません。
また、攻撃モーションが流れるような動きではなく、カクカクとつながってくような違和感があり。
動きのパターンも少ないため、戦い方にバリエーションが作れず、殴りまくるかかろうじて回避っぽい動きをするかしかできませんでした。
カメラワークも悪く、敵が死角から突然現れたり、攻撃後にぐるっと画面が回ったりもするため、戦いづらく酔いやすいとおもいます。
バトルの難易度は、「マイルド・ハード」の2種類から選択可能。
マイルドでも、ボスや武器を持った敵が相手の場合は苦戦するため、アクションに自身のある方以外はマイルドでのプレイがおすすめです。
あと、操作説明がないのはとても不便でした。
途中までどうやって戦ったら技っぽいのが出るのかわからず、そのわりに敵の攻撃はがんがん入るので、しっかりと説明があったほうがストレスを軽減できたとおもいます。
グラフィックは実写とCGがシーンによって切り替わり、特に実写パートはアンダーグラウンドな路地裏や摩天楼の夜景が美しく、ドラマのような雰囲気を演出していました。
ただ、CGのクオリティが低く、バトルで敵を目線で追わなかったり、突如動きが早くなるなど違和感が目立ちました。
実写のクオリティが高かっただけに、CGパートのキャラクターデザインはもっと作り込んでほしかったですね。
さいごに
2周しなければ物語を満喫できない作りなのですが、初回プレイが苦行と酔いで厳しく、その結果たどり着ける真実にも達成感が得られない作品でした。
個人的には、バトルのカメラワークと水の中ような音の演出が相まって、ものすごく酔ってしまいつらかったです。
強い忍耐力がある方はプレイされても良いかとおもいますが、ストーリーに期待する場合、努力の甲斐はあまりないので要注意です。