レビュー

十三機兵防衛圏 プロローグ版 [PS4] 評価・レビュー

『十三機兵防衛圏 プロローグ版』ってどんなゲーム?

・ノスタルジックな昭和をベースにしつつ、ロボットや時間転移といったSFの要素が融合しているアドベンチャーゲーム
・本作は13人の主人公それぞれの物語を、10〜15分程度プレイできるプロローグ版
・ヴァニラウェアさんらしい高いクオリティの2Dグラフィック!生き生きとしたキャラクターの表情や動きが楽しい!
・群像劇としても今後の関係性や展開が気になるようなミステリー要素もあり、本編への期待が高まる!

公式サイト

ゲームレビュー

『オーディンスフィア』や『朧村正』など、精細な2Dグラフィックに定評のあるヴァニラウェアさんが送るドラマチックアドベンチャーゲームです。
80年代の世界を舞台に、13人の少年少女たちが「機兵」と呼ばれるロボットに乗り込み、避けられる破滅の運命と戦う物語。
それぞれのキャラクターが直面する問題や裏に漂う陰謀など、ミステリー要素もある群像劇が楽しめます。
また、先述のとおりジャンルはアドベンチャーなので、ロボットを操作して戦うアクション要素はなく、キャラクターの移動と会話でゲームは進行します。

複雑に絡みあうミステリアスな物語が、没入感のある演出で楽しめる

本作はプロローグ版となっており、13人の主人公それぞれの物語を10〜15分ぐらい体験できるという内容です。
会話はフルボイスでストーリーに没入しやすいのですが、加えて背景で行われているNPCの会話もボイス付きでなされているので、自分(キャラクター)がそこ(空間)にいるという感覚があります。
そのため、すべてのシーンがひとつの舞台として成立しており、常にドラマチックな印象的な場面を演出できていたとおもいます。

各キャラクターの物語は短かったので、本当にハイライト的にしか体験できませんでしたが、それでも本作の持つ魅力は味わえました。
特におもしろかったのは、主人公Aのストーリーに主人公Bも絡んでくるものの、主人公Bのストーリーと関係性や時系列が異なっているということです。
マルチ主人公の群像劇といえば、『428』や『街』などがありますが、これらは特定の時系列のなかで異なる場所でキャラクター同士が交差し、展開が収束していく鮮やかさがあります。
一方、本作ではA視点の物語ではAとBは親しい間柄ですが、B視点の物語ではAとは異なる時代にいるといった具合です。
この主人公同士の関係性や時間のズレにくわえ、複数の主人公に関わってくるNPCや組織の存在もあり、想像していた以上にミステリーというか謎めいた部分のあるストーリーでした。
主人公たちは個性的な性格、それぞれの立場から生まれた目的を持っているため、どのように交流していくのかも合わせて期待できる要素だとおもいます。

ヴァニラウェアさんらしい、精細で美しいグラフィック

ゲームは、奥行きのある横スクロールのマップ上でキャラクターを移動させ、会話したり調べたりしながら進行します。
独自のシステムとして体験できたのは、会話に出てきたワードを記憶する「クラウドシンク」です。
クラウドシンクでは、人物名や出来事など特定のワードについて操作キャラクターが考えられるだけでなく、相手に使用してその話題もできます。
こうしたシステムは他のゲームでも見られますが、アイテムに関するワードを選択すると、そのアイテムを手に持っているグラフィックが追加されるちょっとした演出は、ヴァニラウェアさんらしい丁寧さを感じられました。

グラフィックに関してはさすがのクオリティで、昭和のノスタルジーとSFの融合が新鮮な世界観を作り上げていました。
ヴァニラウェアさんといえば、ファンタジーを中心とした異世界というイメージがありましたが、現実的なグラフィックでもその美しさは健在でしたね。
キャラクターは表情やアクションが会話に合わせて細かく変化し、ちょっとした動きも自然なので、見ていて本当に気持ちが良いです。

さいごに

プロローグ版ではありましたが、本作の持つノスタルジーとSFが融合した世界観やミステリアスなストーリー、さまざまな立場のキャラクターたちの魅力をしっかり体験できる内容でした。
特にグラフィックは、ヴァニラウェアさんらしい美しく細やかな演出が光っており、随分待っているような気もしますがより本編がプレイしたくなりましたw

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たこ
積みゲーマーです! ジャンルはRPG・アドベンチャー・パズルが好きですが、とりあえず気になったものは全部やる!! 読みやすくて前向きなレビューになるように心がけています! 連絡先▷info@tsumige.net