『AI:ソムニウム ファイル』ってどんなゲーム?
・猟奇殺人事件を現実と夢の2面から追っていく、マルチエンディング形式のアドベンチャーゲーム
・ストーリー構成が秀逸!推理ものらしく、事実を積み上げていくことで徐々にすべてを理解できる丁寧な作り
・会話パートのキャラクター描写がリッチ!フレーバーテキストまでしっかりフルボイスなのも寄り道促進になる!
・CERO Zだけどグロさは控えめ(体感)。むしろ唐突にぶっこまれるギャグのほうが暴力的だったw
ゲームレビュー
記事の目次
東京を舞台に、被害者の左目がくり抜かれるという連続猟奇殺人事件を追う刑事と、彼の義眼であるAIの相棒「アイボゥ」の活躍を描くアドベンチャーゲームです。
シナリオは、『極限脱出』シリーズや『Ever17』を手がけた打越鋼太郎さん。
CERO Zとされてはいますが、グロテスクな表現や暴力描写はあるものの、中身が見えていたり気持ち悪いといった感じではなかったので、個人的にはDぐらいの体感です。
(あくまで個人差があるものですので、苦手な方は注意してください!)
むしろ、シリアスな展開の合間に容赦なくギャグが盛り込まれており、昭和のノリというか軽やかに滑っている場合もあるので、そうした雰囲気ほうが心配な感じでしたw
真エンドではなく、最後に見られるエンドが用意されてるアドベンチャー
本作は、モノを調べて捜査・推理をしたり現実世界で関係者の話を聴く「捜査パート」と、重要参考人の夢のなかで捜査の手がかりを探す「ソムニウムパート」があります。
これらのパートを繰り返していくと物語の分岐が発生し、いろいろなエンディングを迎えます。
複数のエンディングがあると、あれこれと見た結果、真エンドがオープンするタイプも多いかとおもいます。
本作にもそうしたエンディングはありますが、それはあくまで最初から用意されているルートのひとつでしかありません。
しかし、最後に見られるルートとしてロックがされています。
解除するためには他のルートをクリアする必要があり、そこでいろいろな真実を知ってくことで最後に見るルートの理解度を高まり、結果として最後に見る必然性が生み出せていました。
つまり、すべてのルートに意味があり、あるからこそ最後のルートがよりおもしろくなるみたいな感じでとても完成度が高かったとおもいます。
全エンディングをクリアするまでは、大体30時間ぐらい。
ルート分岐はソムニウムパートで行われますが、どこで分かれるのかがはっきりしているので迷子にはなりません。
また、フローチャートですぐにいきたいチャプターに飛べるため、別ルートへの導線はとてもスムーズでした。
ストーリーの詳細についてお話をするとネタバレになってしまうので、記載はしません。
ただ、グロではなくギャグのほうが心配になってしまう感じの作品なので、クリア後はなんだか晴れやかな気分で終われたことだけはお伝えしておきますねw
表現がリッチなアドベンチャーパート。フレーバーテキストもフルボイスなので寄り道が楽しい
捜査パートでは、エリアを移動しながらあたりを捜査したり、聞き込みをする所謂アドベンチャーパートです。
気になる場所を選択するオーソドックスなものでしたが、素晴らしかったのはフレーバーテキストの多さとそれらがフルボイスであることです。
背景にいる名もなき警官との会話もフルボイス、まったく同じ顔のボディガードとの会話もフルボイス、モノに対するノリツッコミもフルボイス。
ゆえに、ついついあちこちと調べたくなってしまい、久しぶりにアドベンチャーらしい寄り道の楽しさを感じられました。
個人的には、鑑識官とバーにある冷蔵庫は必ず調べてほしいですねw
また、シーンごとにキャラクターが背景にマッチした表現がなされていたのも良かったですね。
会話中に視線や体の向きの移動もあるので、例えば主人公を含めて3人で会話していると、話者に対して他の人が視線を向けているのです。
そのため、各シーンの構成がリッチに見え、まるで映画やアニメのワンカットのような印象を受けました。
捜査はただモノを調べるだけでなく、左目に入っている義眼のアイボゥの能力を使って、ズーム・サーモグラフィ・X線なども行えました。
特定の状況にならないと使えませんが、捜査のアクセントになっていたとおもいます。
そして容疑者を取り調べて、隠しごとがあったらいざ「ソムニウムパート」です。
パズル要素として楽しめるソムニウムパート
ソムニウムパートは、対象者の深層意識への潜り込み、制限時間6分間の間に捜査の手がかりを探すのが目的です。
プレイヤーキャラクターの移動、選択肢を選ぶと時間が進行。
決められた時間内に、障害となるすべてのロックを外せればクリアとなります。
ロックは選択肢によって解除できるので、どうしたらうまくいくか考えるパズルのような要素になっていました。
ときには予想もつかない結果がもたらされる場合もあり、無駄に時間を浪費してしまうことも……。
理不尽感はもちろんありますが、チェックポイントが細かく設定されているため、失敗してもやり直しがしやすく、難易度はあまり高くないとおもいます。
そしてソムニウムパートにおいては、相棒のアイボゥのテンションがかなりぶっ飛んでるのも個人的には好きでしたw
そうそう、ストーリーも捜査・ソムニウムパートもおもしろくて大満足だったのですが、ちょっと気になる点もありました。
私はSwitch版をプレイしたのですが、会話シーンで過去を回想するなどした際、若干ロードが長い気がしました。
PS4版を比較はしていないのでわかりませんが、いろいろ明らかになっていく後半ではややゲームのテンポが悪くなったかなと。
ただ、ストレスに感じるほどではありません。
さいごに
マルチエンディングを使った秀逸なストーリー、リッチな会話表現と寄り道したくなるアドベンチャーパート、パズル要素のあるソムニウムパートと、個性はありつつも完成度が高い良作アドベンチャーでした。
あと、若干グロテスクな表現はあるものの、むしろ唐突にぶっこまれるギャグのほうが人を選ぶ感じがしたので注意してくださいw
テンションにクセが強い作品ではありましたが、物語は最後まで丁寧に描かれており、気持ち良くクリアできてとても楽しいゲームでした。