『Ghost of Tsushima』ってどんなゲーム?
・元寇をテーマにしたオープンワールドアクションアドベンチャーゲーム
・広大な世界で日本の美しい四季が描かれ、お風呂に入ったり和歌を詠んだり尺八を奏でたりと、斬り合いだけじゃない侍のロールプレイが楽しめる!
・誉れ大好き叔父さんと粗暴なヒロインに挟まれるメインストーリー。他のサブキャラクターも個性的なメンバーすぎてお話がとにかく濃い!
・バトルは型を切り替えて斬り合うアクションをメインに、誉れは浜で死んだのでこっそり背後から討つ暗躍や投擲物での奇襲もできる!
・見た目も好みに合わせて着せ替えられる!おしゃれして蒙古を倒しまくろう!
ゲームレビュー
記事の目次
本作は、中世日本の対馬が舞台のオープンワールドアクションアドベンチャーゲームです。
コトゥン・ハーン率いる蒙古が日本に侵攻すべく対馬に上陸、集結した対馬の武士団は初戦で壊滅してしまいます。
そんななか、かろうじて生き延びたひとりの武士がこの物語の主人公である境井仁です。
侍として誇り高く生きてきた彼は、あらゆる手段を使って故郷を取り戻すべく奔走するという物語。
開発は、『inFAMOUS』シリーズのサッカーパンチプロダクションズです。
なお、私がプレイしたPS4『inFAMOUS Second Son』のレビュー記事はこちらです。
ちなみに、無料でオンライン協力プレイモード「Legends/冥人奇譚」が楽しめます。
本編とは独立したコンテンツで、日本の民話や伝説をモチーフとした怪奇と幻想の世界が舞台。
2人プレイのストーリーミッション、4人プレイのサバイバル・レイドミッションがあり、より協力プレイに特化したバトルへと再構成されているので、蒙古を倒す合間やクリア後にプレイしてみてくださいね。
(クリアしてからアプデで追加されたので私はまだ未プレイです。やらないと!)
美しい日本の四季を味わえるオープンワールド
まず、日本の四季の彩りをぎゅっと凝縮したオープンワールドがとにかく美しいです!
本作では時間経過によって季節が巡らず、場所に紐付いているため、物語の進行に応じて新しい風景に出会えます。
たとえば、ゲーム序盤では花が舞う草原や青々と伸びた竹林、中盤以降は夕日になびく薄や紅葉が美しい湖など。
こうした四季の移り変わりは、日本人にとってなじみのあるものです。
ただ、現実では『あつまれ どうぶつの森』ぐらいでしか四季の変化を感じられていない人が、どこを訪れても日本らしい原風景を味わえる本作をプレイすると、改めて「日本って美しいな!」と感じられてなんだかうれしくなること間違いなしです!
フォトモードも充実しており、フィルターやぼかしなどの定番機能に加えて、落ち葉・灰塵・笹の葉・蛍などを画面に舞わせるエフェクト機能があります。
静止画に動きのあるエフェクトを加えるのは新鮮味があり、手軽におしゃれ感もアップするので楽しい要素でした。
いつもは血眼でフィールドのもやを晴らすことに精を出している私ですが、神社に詣でた際は必ずといっていいほど写真撮影していたので、普段フォトモードを使わない方にもおすすめです。
オープンワールドの定番である収集要素としては、秘湯、稽古台、神社、誉れの石碑、稲荷の祠、和歌を詠むなどして刀や装備、護符などが手に入ります。
他にも、のぼり旗を集めて馬の装備をゲットしたり、こおろぎを集めて尺八の音色を増やしたり、蒙古の品や文と書状を集めて中世日本の時事に詳しくなったりもできます。
個人的に、こうした収集は中盤以降マンネリになりがちな印象があるのですが、誉れの石碑ではそれぞれの場所で名もなき武士の最期を感じられたり、見逃してしまいがちな小さな墓所にこおろぎがいるので足を運んでみたなど、単に集めるだけでなくそこに物語を感じられるデザインになっているため、楽しく徘徊できました。
刀を使わなくても侍らしさを感じられる要素が豊富
また、本作の魅力として、刀を使わない侍らしさの体験があります。
具体的には、神社を詣でたり、和歌を詠んだり、尺八を吹いたり、露天風呂に入ったり。
実際に侍がこうしたアクションをしたのかはわかりませんが、朝靄の川べりで和歌を詠むなんて最高に風情がありますよね。
個人的には、プレイヤーの意思で刀の納刀ができたり(刀使ってるけど、パッと血を払うアクションかっこいい!)、いつでもおじぎができるのも味わい深く、いま自分は侍になっているという体感が得られてよかったです。
侍といえば、装備は武将っぽい鎧、弓取りの装束や袴などがあり、着替えると見た目と能力が変化します。
商人から色違いのデザインも購入できるのですが、その名称が「黄葉・蒼海・灰梅」など世界観にマッチした趣きがあり。
そのため、普段は初期装備の一張羅でプレイしがちな私でも、刀と鉢巻の色を合わせちゃうなど楽しく着せ替えができました。
また、対馬の民から武士は尊敬されているため、道中さまざまな問題(サイドミッション)を解決してあげると大変感謝してもらえます。
正直ちゃんとハッピーエンドになるエピソードはあまりないのですが、それでも喜んでくれるので、新しい地域に行ったら率先して民を助けまくっていました。
このように、刀で斬り合う以外にもたくさんの侍らしい要素が用意されているので、本作は過去最高に侍のロールプレイを楽しめた作品でした。
叔父さんとヒロインの板挟みで悩む主人公と、めちゃくちゃ個性的なキャラクターたちが描く物語
メインストーリーは、侍と冥人(くろうど)との間で葛藤する主人公のドラマです。
ここで出てくるのが、プライドとはちょっと異なる「誉れ」という価値観。
対馬武士団が蒙古にボコボコにされたことで、武士の誉れを重んじて勝ち目のない戦を続けるか、暗殺など邪道な戦い方に手を染める冥人として敵を討ち民を守るのか、という究極の二択を迫られます。
状況的には結構重たい話なのですが、実際は主人公の叔父である志村殿がことあるごとに「誉れ誉れ」と圧をかけてくるのと、命の恩人である女盗賊のゆなが「冥人いいね!」ってパワープッシュしてくるのの板挟みという感じです。
志村殿は自分を育ててくれた恩義と大塚明夫さんボイスでプレイヤーの心をぐっと掴むのですが、とにかく誉れ厨ゆえ、ちょっとでも誉れがないアクションをするとめっちゃキレます。
一方のゆなは、ごく一般的なモブっぽいビジュアルなのですが、交流を深めていくと可愛く見えてくる本作のヒロインなので、蒙古との戦いよりも2人の間で揺れる誉れのほうが重要な気がしました。
さらに、サブキャラクターたちもめちゃくちゃ濃いです。
息を吐くようにちょっと嘘をつく弓取りの石川先生、復讐のために鬼になる対馬のバーサーカー政子殿、激渋ワイルドな幼なじみの竜三、生真面目すぎて極端な思想に陥りがちなぽっちゃり僧侶典雄など。
彼らのサイドストーリーは、連載型短編小説のように少しずつ進行していくので結末が気になるため、オープンワールドにありがちな探索疲れのメリハリにもなっていました。
また、それぞれの話がボリュームたっぷりなので、最終話まで終えると間違いなくそのキャラクターに愛着が湧くはず。
ちなみに私の推しは、「隠れて奇襲する」って言ったのにソッコーで正面から突撃しちゃう政子殿です。
正攻法での斬り合いも、暗殺や奇襲もできるバトルアクション
バトルは、敵の兵装に合わせて型を切り替えて戦うアクションが基本です。
育成が進んでいくと新しい型を取得し、より効率よく敵を倒せるようになるので、凄腕の侍になった気分を味わえました。
また、一騎打ちを挑むと果し合いのような演出が入り、一撃で敵を仕留められるので爽快感があり。
伝承というエピソードを進めると新しい技や装備が手に入るので、戦い方の幅をより広げられました。
こうした正統派な侍としての戦い方はもちろんなのですが、遮蔽物に隠れて背後から倒したり、遠距離から弓でチクチク仕留めたり、投げ物や毒針を使うといった冥人ならではの隠密アクションも行えます。
敵の拠点は柵と物見櫓のあるオーソドックスな野営、海辺の開けた漁村、対馬武士の屋形などバリエーションがあるため、敵の兵装や人数によってはステルスのほうが安全に戦える場合も。
こうした戦場のロケーションやプレイヤーの誉れ度合いによって、自由に戦い方を選べるのは楽しかったです。
なお、『アサシン クリード』シリーズでバーサクダートが大好きな私は、ちょっと強そうな敵に混乱毒の針を刺し、敵同士を戦わせて大乱闘にするのが好きでしたw
さいごに
日本の美しい四季、侍としてのロールプレイ、正統派な斬り合いから暗殺までできるバトル、そしてめちゃくちゃ濃いメンバーによって展開するストーリーなど、オープンワールドゲームとして非常に完成度の高い作品でした!
特に、誉れを重んじる志村殿と粗暴だけど助けてくれるヒロインゆなの間で悩む主人公のドラマを中心に、物語はサブストーリーまでがっつり描かれるので、お話を楽しみたい方にもおすすめです。
オープンワールドのデザインもとても優れており、楽しく収集しながら日本の美しさを体感できるので、ぜひ隅々まで走り回ってみてくださいね!