『WATCH DOGS LEGION』ってどんなゲーム?
・混沌とした近未来のロンドンが舞台のオープンワールドアクションゲーム
・特定の主人公は存在せず、ロンドン市民を自由に仲間にできるシステムに変更!でも仲間に動機がないのでストーリーは淡々と進んでしまう!
・スパイダーボットで潜入したりドローンで空中を掌握するなど、ハッキングアクション自体はとにかく楽しい!
・ミッションでは攻略ルートがある程度制限されており、パズル感覚でクリアできるけれど、中盤以降はやらされている感が強い
・マップがめちゃくちゃ使いづらい!ロケーションも都会のビル群ばかりで変化に乏しく、あまり広さを感じられない
ゲームレビュー
記事の目次
さまざまな組織に支配された近未来のイギリス・ロンドンを舞台にした、オープンワールド型クライムアクションゲームのシリーズ3作目です。
なお、過去作とのつながりはないので、本作からプレイしても問題はありません。
ドローンが警備や貨物の輸送を行い、高度に発達したAIテクノロジーが街のインフラや監視カメラを支配しているという世界観。
民間軍事企業が勝手に治安維持活動をしたり、犯罪組織が裏で儲けていたりと、かなり混沌とした状況になっています。
そうしたなか「ゼロデイ」という謎の存在が爆破テロを実行、その罪がハッカー集団「デッドセック」になすりつけられてしまうことに……。
プレイヤーは信頼できる仲間を集めて巨悪を打倒しながら、ゼロデイの正体に迫るというストーリーです。
なお、PS5/PS4/Xbox版がリリースされています。
ちなみに開放的なサンフランシスコで若者たちが活躍する、自由度の高いハッキングアクションが楽しめる2作目『WATCH DOGS 2』のレビュー記事はこちら。
シリーズではこれが一番好きで、若干ノリは軽めですがオープンワールドとしての完成度も高いため、ぜひプレイしてほしいおすすめタイトルです!
復讐をテーマにしたシナリオが魅力の1作目『WATCH DOGS』のレビュー記事はこちら。
最初の作品ですが、すでにゲームとしてのおもしろさは完成されています。
ロンドン市民を仲間にするシステムはあまり機能せず、ストーリーの盛り上がりもダウン
基本的なゲームシステムは過去作と同じで、オープンワールドを舞台にハッキングを駆使してさまざまなミッションをこなし、悪を打倒していきます。
さて、大きく変わったのは、特定の主人公が存在しないことです。
本作では、街で暮らすロンドン市民から任意で仲間にした人物がハッカー集団「デッドセック」のメンバーになり、そこから操作キャラクターを選択してストーリーやミッションに挑みます。
こうした試みはシリーズ初であり、主人公を育成してさまざまなスキルを獲得していくスタイルから、目的に応じて適切な能力を持つ仲間を選択してクリアする遊び方に変わりました。
さて、この挑戦がうまくいったのかというと……正直イマイチでした。
工作員は強力なアサルトライフルを持っていたり、光学迷彩を備えたスパイカーを呼べたり、ハッキング速度が早くなるなど、固有の便利な能力を所持している人もいます。
ただ、ミッション前にどんなスキルが役に立つのかが分からないため、上記のようなスキルを持っているメンバーを選択しづらさがありました。加えて、私がプレイしていて役に立った貨物ドローンのハッキングやスパイダーボットの操作は汎用スキルで、育てればどのキャラクターでも使用できてしまいます。
操作キャラクターを変更する際にはロードとちょっとした演出が入るため、手軽に切り替えづらい不便さもありました。
これらの理由から、プレイヤーが意識してキャラクターを切り替えないと、一張羅のように同じキャラクターを使ってしまいがちだと感じました。
こうした攻略におけるネガティブさだけでなく、ストーリーでも主人公がいないゆえの盛り上がらなさがありました。
工作員には個性が設定されており、見た目もバラエティに富んではいます。
しかし、彼らにはロンドンの脅威と戦うメインストーリーにおいて明確な役割が与えられていません。
敵と戦う動機も描かれないため、悪事を働いている存在に対して、なんとなく集まった人たちで倒すという展開になっており、物語としてのまとまりはあまり感じられませんでした。
このようにプレイヤー側には戦う理由が弱い一方、敵はシリーズで類を見ないほど悪いことをしているやつらばかりが登場しましたw
AIを使って人間を操作したり、臓器を売買したり、ドローンで街を掌握してやりたい放題の正義を振りかざしたり。
近未来で起こりそうな問題をテーマにし、リアルなグラフィックも相まって現実になりえそうな怖さを感じられます。
そのため、彼らに苦しめられたキャラクターがプレイヤー側にいれば展開ももっと熱くなったとおもうのですが、実際は敵を倒しても喜んでくれる人がいないので達成感は薄くなっていました。
まとめると、NPCを主人公にしたことで自分のチームを作ったり、メンバーを入れ替えるおもしろさを実現したかった作品ですが、あまりその機能は果たせておらず、逆にストーリーの盛り上がりを損ねてしまう形に落ち着いていました。
個人的に、続編はまた過去作のスタイルに戻していただけるとうれしいですねw
(ちなみに私は、最初に仲間になったマイカー持ちで資産家であるアジア系のスーツのおっさんがとてもお気に入りで、ほとんどすべてのミッションを彼でクリアしちゃいましたw)
とにかく楽しいハッキングアクション!ドローンでの空中戦要素が強化
NPCを仲間にするシステムやメインストーリーには物足りなさがあったものの、本作のメインであるハッキングアクションはめちゃくちゃ楽しかったです!
まず、ハッキングできる「ドローン」の種類が増えたことで、ドローン同士を相討ちさせて大混乱に陥れたり、攻撃型のドローンを自分で操作して敵を片っ端から倒したりでき、空中を自在に飛び回れる爽快感もありました。
特に便利だったのは、プレイヤーを乗せて移動できる「貨物ドローン」で、上空からちょろっとアイテム回収して逃げたり、新たな攻略ルートを開拓したりと序盤から終盤までほぼお世話になりっぱなしでした。
新ガジェットの「スパイダーボット」もとても使い勝手がよかったです。
前作のジャンパーみたいな役割で、潜入型は危険な場所にも突入させやすく、まずはこれを使って偵察するのが定番でした。
ただし、操作時に酔いやすいので注意。
おそらく視点が低く、狭くて暗い場所での移動が求められるからかとおもいますが、とにかく酔いました。
私のようにステルスメインでプレイされる方は使う機会も多くなるので、視点感度を低くし、少し見上げるような角度にするのをおすすめします。
キャラクターの育成は、ハッキングスキル・ガジェット・武器・アップグレードの4項目に分かれています。
街のあちこちに落ちているテックポイントを使うのですが、ドローンやスパイダーボットの使い勝手がよくなったり、被ダメージを減らせたり、敵対しているNPCを仲間にできたりと、育てることでゲームをより快適に進められます。
なお、これらの要素はすべての工作員が共通して効果を得られるので、先述していますがある程度レベルが上がるとどのメンバーを使っても変わらないという問題が発生しますw
ミッション中の自由度は減りパズル感覚に……何よりマップが使いづらい!
ミッションとしては、メイン・サイド・地域ミッションがありますが、全体的に自由度が減ったように感じました。
特にメイン・地域ミッションは潜入方法やルートが指定されている場合が多く、カーレースやドローンによるサーバールームへの侵入といった変わり種もあったものの、パズル要素が強くなった印象があります。
似たような目的も多いので、中盤以降はやらされている気分になることも……。
個人的には、足場の不安定な暗闇のなか、ドローンで道を照らして進むミッションはかなりストレスでしたw
オープンワールド要素としては、配達・ダーツ・リフティング・ストリートアートといったアクティビティ、音声ファイル・マスク集めや金庫からお金を回収するコレクション要素など、やりこみ要素としてしっかり用意されていました。
ただ、マップがとにかく見づらかった!
これは本当に声を大にしてお伝えしたいのですが、アイコンが小さいのでズームにすると、なぜか平面だったマップが途中から立体表示になるうえに、アイコンもあまり大きく表示されません。
このジャンルをプレイされる方の何割かは、マップから消せるアイコンはすべて消さないと満足できないかとおもいますが、そうした方々にはとても不便なデザインになっています。
なお、私はあまりにも不便すぎて早々に諦めましたw
建築物が多く変化に乏しいオープンワールド。少しダークな描写にも注意
今回の舞台は、テロによって混沌とした雰囲気漂う近未来のロンドンです。
都会を中心としたロケーションには新鮮味があり、歴史的建造物とSFテイストで個性的な外観のビルが並ぶ光景は本作ならではの魅力になっていました。
ただ、全体的に建物や高層ビルを中心とした街並みなので、バッキンガム宮殿付近には緑豊かな公園があるものの、景色の変化に乏しいマップでした。
8つある地域の特色も弱く、結果的に狭さを感じさせるオープンワールドになっていたのは残念なポイントかなと。
最後に、本作では明らかに拷問されていた形跡のある場所や人を奴隷として扱っているシーン、人間や動物を機械に変容させてしまうなど、結構グロデスクな描写が目立ちました。
特に臓器売買関連では死体もたくさん落ちているので、過去シリーズよりもハードな印象を受けます。
CERO Zとはいえ修正されており、断面や中身は見えませんが、『WATCH DOGS 2』のような開放的な雰囲気を期待していると、ちょっとビックリしてしまうのでご注意ください。
さいごに
ハッキングアクションは引き続きめちゃくちゃ楽しかったのですが、ロンドン市民を仲間にするシステムがあまり機能していなかったり、マップの使い勝手が悪かったりとネガティブな部分が目立った作品かなと。
全体的にマイナスなコメントを書いてしまったのですが、シリーズならではのハッキングアクションには唯一無二の楽しさがあり、それは本作でも健在でした。
『WATCH DOGS』としては1作目、2作目をおすすめしますが、次回作にも期待しています!