『バディミッション BOND』ってどんなゲーム?
・ワケあり4人組のチームが犯罪組織の陰謀に立ち向かう、大ボリュームのアドベンチャーゲーム
・序盤はのんびりだけど、中盤以降は謎が謎を呼ぶ展開から加速度的におもしろくなり、鮮やかにエンディングを迎える爽快な物語が楽しい!
・コミック調の演出によりイラストが豊富で、ちょっとした会話シーンもリッチ!
・4人の友情はもちろん、サブキャラクターにもフォーカスを当てているので、すべての人物を大切にしている感がうれしい
・調査・潜入パートには編成やルートを考えたりパズル要素もあり、しっかりと頭を使ってプレイできる
ゲームレビュー
記事の目次
本作は2人組のバディを組んで捜査・潜入を行い、世界を揺るがす大きな陰謀に立ち向かう、熱き友情を描いたアドベンチャーゲームです。
現代的な世界観が舞台で、主人公は亡き養父の夢を継ぎ、正義のヒーローを志す熱血警察官のルーク。
そして彼と出会いチームとなるのは、宝石を狙う怪盗ビーストことアーロン、過去に縛られた陽気な忍者のモクマ、容姿端麗で冷徹な詐欺師チェズレイ。
それぞれ思惑を抱えたワケありの4人は、世界的なショービジネスの中心地であるミカグラ島を舞台に、姿なき犯罪組織「DISCARD」を追うことになります。
キャラクターデザインは『ワンパンマン』や『アイシールド21』の作画である村田雄介さん。
アドベンチャーゲームですがストーリーや会話は立ち絵ではなく、カット絵が切り替わっていくコミック調の表現で描写されています。
また4人から2人を選び、バディを入れ替えながら調査・潜入をする捜査システムが特徴です。
加速度的におもしろくなるシナリオは、熱くて王道で最高にドラマチック!
本作はメインストーリーのクリアだけでも20時間以上楽しめる、大ボリュームのアドベンチャーゲームでした。
各ミッションクリア後の成績やバディの組み合わせによって開放されるサイドエピソード・バディエピソードも豊富にあり、こちらだけでも大いに楽しめます。
(ネタバレになるので詳細は伏せますが、真のエンディングにたどり着くためにぜひ隅から隅まで見てください!)
序盤は熱血ヒーローバディ刑事もので、事件を捜査していくオーソドックスな流れで進行するため、安心感はありつつも少し物足りなさがありました。
しかし、中盤からは怒涛の展開があり、追っていた事件が世界規模に拡大したり、どんでん返しや叙述トリックを使ったミステリーによる驚きにより物語が加速度的におもしろくなります。
こうした犯罪組織を追うメインストーリーの進行に合わせて仲間の問題もしっかり描かれ、過去のトラウマや親子関係のもつれによるすれ違いが発生。
さまざまな障害にぶち当たる主人公たちですが、お互いを信じ合う友情によって問題を切り抜けていきます。
そして、すべてに決着をつけるエンディングも素晴らしく、4人の成長をしっかり感じられる爽やかな読後感が得られました。
また、主人公たちメインキャラクターだけでなく、敵やモブのようなサブキャラクターまですべての登場人物を大切しているため、もやもやの残らない鮮やかな結末はとても気持ち良かったです。
振り返ってみると、本作のシナリオが最初からとても工夫されており、丁寧すぎるぐらい説明していた「正義のヒーローに対する憧れ」は終盤で感動を生む大事な要素だったんだなとしみじみしちゃいました。
正直、ギャグが目立つ序盤はどうなることかとおもいましたが、ヒーローものらしい王道的熱さと練られたシナリオ、個性的だけど馴染みやすいキャラクターのバランスが良い作品でした!
豊富なイラストによるリッチなアドベンチャーゲーム!
立ち絵と背景で進行するベーシックなアドベンチャーゲームとは異なり、シーンや会話に応じて描き下ろされたイラストが漫画のように表示される形式で進行します。
そのため、イベントスチルだけでなく日常会話にも固有イラストがたくさんあり。
銃撃や破壊といったアクションシーンが随所に入る作品なので、カット演出や擬音などによって画面に勢いを出せるコミック調の演出は作品に合っていたとおもいます。
(いちプレイヤーとしては、「こんなにイラストいっぱい見れてリッチだー!ありがたいー!」という感じでしたw)
メインストーリーもフルボイスで、重要なシーンではムービー演出も入るため、物語への高い没入感を得られました。
また、声優陣は豪華なキャストが勢ぞろい……特にサブキャラクターたちはなかなかに癖の強い配役がされているので必見です。
メインの4人の熱演も素晴らしく、特にチェズレイ役の浪川大輔さんの振れ幅にはビックリしましたw
モブキャラクターにもイラストやパートボイスがあり、妙にインパクトがある人物もいたりするので、後述の調査パートでどんな人と出会えるのかも密かな楽しみでした。
音楽は全体的にラグジュアリーな雰囲気があり、潜入シーンもあることからスパイ映画のようなおしゃれ感がありました。
また、本作には恋愛要素がないので、男性プレイヤーでも遊びやすい作品だとおもいます。
ただ、序盤に主人公に対して結構ダークな描写あるので、苦手な方は注意してくださいね!
調査・潜入パートは編成やルートを考えるパズル要素がおもしろい!
ゲームのサイクルは、日常パートでストーリーが進行し、調査パートで相棒を選択して特定の場所を調査、この結果をもとにルートを開拓して潜入パートが行われます。
この合間に事件の推理をしたり、評価につながるヒーローゲージが上下する選択肢が現れるのですがこの難易度は低め。
その場で答えとなる過去の事象を思い出せるので、少し前の話で忘れちゃっていても大丈夫という親切な作りになっていました。
一方、調査パートでは行動数に制限があり、バディの組み合わせや訪れる場所のルートを考えるなど、しっかりと考えさせる仕組みになっていました。
特に中盤以降は調査できる範囲が広がったり、適切な相棒でないと情報が聞き出せなかったりなど、調査もより複雑に。
そのため、些細な会話やサブキャラクターの特徴がヒントになる場合もあるので、自然とストーリーに集中するような構造だったとおもいます。
気になった点としては、主に潜入時に発生するボタンアクションで、タイミングが少し掴みづらく爽快感もなかったのでなくてもよかったかなと。
また、潜入パートにおける3Dグラフィックのクオリティは決して高くありません。
これは潜入先を倉庫や貨物室といった裏方だけでなく、カジノやお城などロケーションを多彩にすることでカバーできていたので、結果的にネガティブではありませんでした。
さらに潜入パートでは謎解き要素があるなど、他のパートにはないミニゲーム的な遊びも盛り込まれていたので、しっかりメリハリとして楽しめました。
さいごに
丁寧に練られたシナリオと一枚絵の多い漫画調のリッチな演出、そして最高に読後感の良い傑作アドベンチャーでした!
王道的すぎるバディものをちょっぴりくさく、でもしっかりドラマチックに見せられており、すべてのキャラクターを大切にしている点も高評価ポイント。
テイストはやや女性向けではありますが、全体を通じて完成度の高さが感じられる名作なので、アドベンチャーゲームがお好きな方はぜひプレイしてみてくださいね!