『JUDGE EYES:死神の遺言』ってどんなゲーム?
・「キムタク」というキャラクター性をうまく使った『龍が如く』、でもプレイ感は完全に別作品
・ストーリーがシリアスでおもしろい!過去に囚われた主人公が巨悪に立ち向かう、テンポの良いリーガルサスペンスが楽しめる
・相棒の海藤さんがおバカでかわいい!他の仲間キャラクターも魅力的で、チームで戦う姿は刑事ドラマっぽくて熱い
・シンプルなシステムで遊びやすいバトルは、キムタクでゴリゴリ殴るのがとにかく気持ちいい!
・完成された箱庭アドベンチャーであるサイドケースや街歩き要素は、キムタクだからさらに楽しめる!
ゲームレビュー
記事の目次
本作は元弁護士の探偵である主人公が、連続殺人事件と裏に潜む巨大な陰謀を追うリーガルサスペンスアクションゲームです。
龍が如くスタジオの新規作で、『龍が如く』シリーズと同じく神室町が舞台。
ただ、世界観や組織のみ共有しているので、同シリーズのキャラクターは登場しません。
主人公「八神隆之」を演じるのは木村拓哉さん。
彼が探偵として細々と活動している神室町で、死体から目玉がくり抜かれるという猟奇的な連続殺人事件が起こります。
報酬目的で弁護士時代に所属していた法律事務所からの依頼を受け、事件に関わっていく八神。
しかし、次第にヤクザや刑事を巻き込んだ巨大な陰謀と、自分が弁護士を辞めるキッカケになった過去の事件へとつながっていくという物語です。
なお、本作はPS5とXbox Series向けにリマスター版も登場しました!
(ゲーム内容は同じですが、本記事はPS4版のプレイ感想になります)
ハードをお持ちの方はキレイな画面で快適にプレイできるので、こちらがおすすめです!
桐生とは異なる魅力を持った主人公の八神。本格的なサスペンスドラマは必見!
本作は『龍が如く』シリーズと同じ舞台やエンジンを使用しているので、ゲームサイクルは同シリーズを踏襲しています。
しかし、プレイ感は大きく異なる作品でした。
まず、ストーリーについてですが、ヤクザの抗争や土地争いではなく連続殺人事件の調査がメインです。
そのため、刑事や探偵が活躍するドラマのような雰囲気があり、物語が進むにつれて事実が積み重なって隠された真実が明らかになるため、常に先が気になりながらプレイできました。
また『龍が如く』では、血の繋がりに関わらない親子の絆や仁義を描くドラマに重きを置いていますが、本作ではより事件を複雑化し、真相が明らかになっていくドキドキ感にフォーカスしている印象でした。
物語自体は全体的にとてもシリアスで、八神たちメインキャラクターはカタギの人が多いため、死や犯罪への重さがあり、「捕まったら死ぬかも……」とほどよく緊張しながらプレイできたことも『龍が如く』とはちがう点でした。
ストーリーのテンポも良く、『龍が如く』シリーズで時々あったわき道に逸れて気になる本編が進まないということもないので、快適に集中してプレイできました。
そして、主人公の八神がとても魅力的なキャラクターでした。
『龍が如く』の主人公である桐生ちゃんは問題を呼び込む人物で、強さを背景に、漢は背中で語る孤独な戦いに魅力がありました。
一方、八神は喧嘩が強いもののカタギなので、桐生ちゃんのような無双できる強靭さはありません。
彼には過去から問題を生きずっており、それを抱えながら迷ったり苦悩したり、時に敵に敗れても這い上がっていく姿にかっこよさがありました。
桐生ちゃんに比べて人間的な弱さがあるけれど、それを糧に立ち向かっていくという感じがとても泥くさくて熱かったですね。
また、ストーリーは八神視点で進行しますが、主人公チームとしての物語や活躍を描いている点も差別化になっていました。
義理人情に熱い『龍が如く7』の一番たちが持っていた「みんなでひとつのことをがんばる!」というチーム感とちがい、立場や悩みが異なる人たちがそれぞれ成長していきチームになるというドラマが描かれる感じです。
そのため、各々が直面する問題や解決までのプロセスが多彩で飽きさせることなく、メインの事件に絡めた形で関係性が進展するのも良い構成になっていました。
特に八神と相棒のちょっとおバカな海藤さんの明るくコミカルなやり取りは、凄惨な事件の合間にほっこりできます。
この2人のバディものとして見ても優れており、続編が出るならぜひまた活躍してほしいコンビですね。
遊びやすいバトル、イマイチな探偵アクション、知的さが楽しい法廷パート
バトルについては、1対1の戦いに強い「一閃」、集団戦に有効な「円舞」を切り替えて戦います。
『龍が如くシリーズ』のヒートアクションである「EXアクション」もあり、爽快さのあるバトルが楽しめました。
ただ、育成深度や技のバリエーションはやや少なく、DLCで波動拳が撃てるなどのゆるい要素もあり。
とはいえ、リアルなリーガルサスペンスを描いた本作のテイストや八神がカタギであることなどを考慮すると、それぐらいのバランスでちょうどよいのかなと。
難易度調整もできるので、『龍が如く』シリーズ未経験者や「キムタクには興味があるけれどバトルは苦手」という新規ユーザーにもおすすめしやすいとおもいます。
本作ならではの要素として「探偵アクション」があります。
尾行・鍵開け・写真撮影などができ、探偵っぽさはあったのですが正直ちょっと面倒でしたw
最初は楽しいのです。
ただ、サイドケースで繰り返し行っていると、写真撮影は雑になり、鍵開けはスキップしたくなりましたw
あと、個人的にドローンがとにかく操作しづらく、組の事務所を偵察するシーンはめちゃくちゃ苦戦しました。
また、法廷で検事と対決する「法廷パート」もあります。
『逆転裁判』のような複雑なやりとりはなく、情報や選択肢を選ぶシンプルなモードでしたが、『龍が如く』では絶対にお目にかかれない理詰めの会話ができるので良かったですね。
いつも街や事務所で殴り合いしかしていないため、法廷という場所そのものも新鮮でした。
他にもストーリー中に情報を聞き出すシーンがあり、桐生ちゃんとはちがう知的なアプローチで事件を追えるの本作ならではの楽しさだとおもいます。
箱庭アドベンチャーは「キムタク」という概念によって独自のおもしろさに!
ゲームのベースは『龍が如く』で完成されている箱庭アドベンチャーをしっかり踏襲しており、多彩なサイドケースやプレイスポット、食事ボーナスといった定番のやりこみ要素が完備されていました。
ただ、「危険度システム」については不満あり。
これはストーリー進行や時間経過によって危険度というパラメータが上昇し、街のチンピラが増えたり幹部が出現します。
経験値稼ぎのためではあると思うのですが、特定のケースをクリアするまでは倒しても一定時間で復活してしまうので、マイペースに街遊びをしたいプレイヤーにはストレスになるかなと。
アドベンチャーにおいては、他のキャラクターなら特に何の感情を持たないけれど、キムタクだからおもしろいことがたくさんありました。
ファーストフードでハンバーガーを食べるキムタク、風俗店のシステムを事細かに聞くキムタク、自撮りをするキムタク、ガールフレンドたちと付かず離れずなこそばゆいメールを送るキムタク……。
特にキムタクが絶対やらなそうなことをやるのが最高に楽しかったですw
総じて、多くの人が持っている「キムタク」のイメージをシリアスでもコミカルでもうまく生かした作品でしたね。
(ちなみに私はあまりキムタクを知らないのですが、それでも充分楽しめたので、知っている人がプレイするとより楽しめるとおもいますw)
まとめ
『龍が如く』で完成されたゲームプレイを踏襲しつつ、キムタクという魅力的で強い個性を持ったキャラクターにより、まったく別のテイストに仕上がっていた作品でした。
キムタクだからこそ描ける物語、キムタクらしからぬバトルアクション、キムタクだから笑えるシチュエーションなど、シリアス・コミカルと多角的に楽しさを創出。
同シリーズファンなら新鮮な気持ちでプレイできますし、キムタクをキッカケにして本作に興味を持ったプレイヤーにも遊びやすい超おすすめの1作です!
ちなみに、ストーリーはしっかり完結しつつ余韻を残しているので、続編にとても期待しています!