レビュー

オールモスト・ゴーン [Switch] 評価・レビュー

『オールモスト・ゴーン』ってどんなゲーム?

・パステルカラーの可愛らしい世界を舞台に、重たくて暗い物語が描かれるパズルアドベンチャー
・とにかく見た目とは裏腹の心をえぐる展開が待っているので、注釈のとおりデリケートで大人向けの内容です!
・謎解きの難易度は低めでさくさく解ける。おしゃれなデザインの立体的なステージを探索するのはとっても楽しい!
・でもBGMやサウンドがじんわり怖くて、だんだんプレイするのが辛くなってくる!

公式サイト

ゲームレビュー

本作は視点を変えたり、回転させたりしながら仕掛けを解く立体的なパズルアドベンチャーです。
とある少女であるプレイヤーは、パステルトーンで描かれたミニマルなエリアを探索し、彼女と家族の身に起きた出来事を回想していくという物語。
一見すると穏やかな世界をのんびりと巡っていくかとおもわれる作品ですが、冒頭でいきなり「一部のプレイヤーに不安を抱かせる恐れのある、デリケートで大人向けの内容です」と注釈が出てくる重たいゲームなので気をつけてください!

さくさくと解ける謎解き・脱出ゲーム系のパズルアドベンチャー

本作はポイント&クリックで気になる場所を調べていく、謎解きや脱出ゲームに近いプレイ感です。
アイテムや手がかりを入手し、それを使って仕掛けを解いていきます。
使うべきものや場所の選択肢が常に限定されているため、謎解きの難易度は高くなく、さくさくと進めていけるかなと。
(ちなみに私は、最初に手に入れたレンズの使い方がわからずめちゃくちゃ悩みましたw)

ただ、タップ操作に対応していないので直感的に調べられないのは気になりました。
文字送りの反応が一部悪い所もあり、先が気になる物語やスムーズに解ける謎に対して引っかかりになってしまっていたとおもいます。

クリアまでは2時間ぐらい。
5つのチャプターがあり、スタイリッシュで可愛いデザインの主人公の家からはじまり、住宅街や廃墟になりつつある病院まで屋内外のステージが登場します。
前段でも少しお伝えしましたが、序盤から徐々に話が重たくなっていくので、これぐらいのボリュームでちょうど良かったとおもいますw

見た目は可愛いけれど、中身は重たくて暗い物語が描かれる

パステルカラーのやわらかな色彩で描かれた世界は、ミニマルなデザインでとにかくおしゃれ。
本棚の配置や窓の形などに特徴があり、やりすぎていないデザイナー物件のような品の良さがありました。
特にピンクを基調とした主人公の家、中盤に登場する祖父母の家といった屋内のステージは小物も多く見応えあり。
リビングや子ども部屋ある家具から生活のちがいを感じられるなど、細部までこわだっているのが見て取れました。

さて、このように可愛らしいアートによってハートフルな内容が想像できる本作ですが、中身はある少女を取り巻く「死・喪失」をテーマにした激重の物語が展開します。
ゲームスタート時、彼女は記憶の一部をなくしており、過去の自分が訪れた場所や住んでいる家の記憶を辿って思い出していきます。
それぞれの場所では彼女の独り言によって、自身の精神状態や家族関係が語られることに。
そして、仕掛けを解くためのアイテムを見つけることで、暗い出来事の数々が明らかになります。

父の幼少期に抱えていた問題、母の薬物依存、過去に起きた悲惨な事故……。
こうしたエピソードが少女が訪れる家や病院を調査していくなかで描写され、ゲーム全体は常に薄っすらと重たい雰囲気をまとい、プレイを進めていくにつれてどんどん暗い気持ちになっていきました。
また、本作のやわらかなアートワークは、一見すると普通の家族なのに実は闇を抱えているという二面性も同時に描かれているように感じられ、プレイヤーに静かな怖さを感じさせる要素になっていたとおもいます。

可愛らしい雰囲気とは裏腹に、不穏な気持ちを掻き立てるBGMやSEもとても不気味。
直接的な描写がないからこそ不安感も助長され、明かされていく悲しい事実により、クリア後はもれなく沈んだ気分になれるでしょう。

まとめ

パステルトーンのアートワークと、じわじわ心を侵食してくる暗い物語が味わえる本作。
おしゃれな世界は探索するのが楽しい一方、知りたくないのにどんどん明かされる重たい過去によって、ずーんと落ち込んだ気分になること間違いなしです。
私のように軽い気持ちでスタートせず、ぜひあらかじめ身構えてプレイしてくださいw

ABOUT ME
たこ
積みゲーマーです! ジャンルはRPG・アドベンチャー・パズルが好きですが、とりあえず気になったものは全部やる!! 読みやすくて前向きなレビューになるように心がけています! 連絡先▷info@tsumige.net