レビュー

Ghostwire:Tokyo [PS5] 評価・レビュー

『Ghostwire:Tokyo』ってどんなゲーム?

・渋谷を舞台に亡霊や妖怪を倒していく、小さめオープンワールドアクションアドベンチャー
・本編ではキャラクターの心理描写が薄く、イマイチ感情移入できない
・サイドミッションが楽しい!ハートフルな人助けとコミカルな主人公バディのやりとりは最高!
・人のいない渋谷の雰囲気は素晴らしく、高いところから見下す街並みも新鮮!
・攻撃アクションは爽快だけど、戦っても強くならず面倒になってくるシューター系バトル
・ホラー要素はなく、びっくりさせるような演出もないので怖いのが苦手な人でも安心してプレイできる!

公式サイト

ゲームレビュー

本作は、人々が消えてしまった東京・渋谷を探索しながら、亡霊や妖怪を倒していくアクションアドベンチャーゲームです。
渋谷で発生した人が大消失する事件の最中、交通事故に巻き込まれた主人公の暁人。
生死の境をさまよっていた彼は、別の事件ですでに亡くなり霊体となっていた刑事のKKに憑依されてしまいます。
二心一体となった彼らは対立しながらも、事件を引き起こし怪しげな儀式を行おうとしている敵「般若」と戦うことになるという物語が描かれます。

オープンワールドで再現された渋谷には、繁華街のリアルさはもちろん、商店街や団地といったレトロな趣のあるエリアも登場。
人っ子ひとりいない霧に包まれた幻想的な渋谷の景観を楽しみながら、怪異とのバトルや調査を進めていくというゲームです。

全然怖くない!ホラーが苦手な人でも安心してプレイできる

私はホラーゲームがめちゃくちゃ苦手です。
振り向いたら急に飛び出してくるゾンビも、井戸やテレビから迫ってくる女性もだめ。
ゆえに、不気味で妖しい雰囲気の漂う『Ghostwire:Tokyo』は身構えながらスタートしました。

しかし蓋を開けてみると、まったく怖くありませんでした!平和!
もちろん亡霊とか妖怪は出てきますが、頻繁に遭遇する相手はサラリーマンや女子高生風の何かなので、ビジュアルから怖さを感じることはなし。
彼らの挙動も基本的に突撃しながら殴りかかってくるだけなので、怖いというより危ないといった感じ。
プレイヤーをビックリさせて怖がらせるような演出もないため、ホラーが苦手な方でも亡霊や妖怪と戦うアクションゲームとして遊べます。
(団地の一室や古びた民家など屋内は、空気感が怖くてちょっとビビりながら探索しましたw)

本編は心理描写が不足し感情移入できず。サイドミッションはハートフルで楽しい!

『Ghostwire:Tokyo』には本編とサイドミッションがあり、それぞれ物語が描かれるのですが、本作の軸であるメインストーリーをあまり楽しめませんでした。
まず、物語冒頭時点で、主人公たちは事件の主犯である般若に対してものすごい敵意を持っているのですが、その動機がほとんど描かれません。
特にKKはなぜ霊体になっても般若を追うのか、そもそもなぜ彼は霊体になってしまったのかという過去がほとんど語られないのです。
そうした状況にも関わらず、敵をめちゃくちゃ憎んでいる描写だけが繰り返されるため、「なんでそんなにヘイトが溜まっているんだろう?」と疑問が湧き、一緒に般若を倒したいという気持ちになれませんでした。

また、本編では急いで儀式を止める必要があると切羽詰まっているはずなのに、のんびり渋谷を探索できるゲームプレイとのズレも気になりました。
もちろんこうしたズレは、他のアドベンチャーやオープンワールドゲームにも見られます。
しかし、本作においてそれが気になったのは、メインストーリー中のテンションがとてもシリアスかつ常に儀式が今にも完成してしまいそうな時間的な余裕がない状態で進行するため、渋谷を歩き回ることへの違和感を感じました。
さらに探索中はコミカルな会話がなされたり、困っている霊を助けたり、ろくろ首と追いかけっこしたりとのんびりした展開ばかり。
「がっつり般若に敵対心むき出しにしていたあの熱さはどこにいったんだ!」と、イマイチ乗り切れませんでした。

ただ、本作はこの渋谷探索中に発生するサイドミッションがとてもおもしろかったです。
内容は民俗学や都市伝説を題材に、成仏できない霊の悩みを解決するハートフルなエピソードが中心。
人助けとしてはオーソドックスですが、主人公たちのやりとりもとても良かったです。
本編ではお互いギスギスした感情をぶつけ合っているものの、サイドミッションではちょっかいを出し合うコミカルな会話が軸になっており、凸凹したバディ感が楽しめました。
個人的には、このテンションで本編もやってくれたら色々説明不足でも楽しめたようにおもいます。
なお、サイドミッションは全部クリア、収集系は残して20時間ぐらいとオープンワールドゲームとしてはプレイボリュームが短めでした。

東京観光ができるロケーションは最高!収集要素は単調で飽きる

前述のプレイボリュームから分かるとおり、オープンワールドとしてはあまり広くありませんが、ロケーションはとても魅力的でした。
渋谷の街並みはもちろん、古めかしい団地や商店街、神社のある森林公園や雑木林など多様性もあり。
東京という概念を歩き回りやすい感じのサイズ感にまとめており、観光気分で探索が楽しめるとおもいます。
一応、墓地があったりとホラーっぽい雰囲気はありますが、あまり暗い場所もないので怖さは控えめ。

また、本作は階段や空中にいる天狗を使って飛び上がるなど、立体的な移動ができます。
ビルの上から眺めるビル群は新鮮で、登れる場所を探して見上げてしまうことも度々ありました。
平面としての広さはあまりないけれど、縦の移動ができることでオープンワールドゲームとしては新しい体感が得られました。
他にも良かった点としては、霧に閉ざされ徐々にマップが解放されていく仕組みなので、同ジャンルに慣れていないプレイヤーでも大まかに導線が引かれており、遊びやすいかなと。

ただ、オープンワールドでは定番の収集要素はとても単調で退屈でした。
『アサシン クリード ヴァルハラ』ではアイテムへと道中の仕掛けがパズルのように工夫されていたり、『Ghost of Tsushima』ではアイテムを手に入れた先で絶景が見られるなど。
他のオープンワールドゲームでは、移動してアイテムを手に入れるという単なる収集ではなく、アクティビティになっていて楽しめる作りになっています。
しかし本作では、目的地に行くだけだったり、同じ追いかけっこを何度もやらされたりと遊びとしては弱いものでした。
(ろくろ首、一反もめん、河童といった妖怪たちが出てくるという設定はおもしろかったです)

さらに気になったのは、マップ上に表示されない収集要素があること。
物に化けたタヌキやお地蔵さんを探すなどですが、オープンワールドゲームに慣れていると自分の足で探す楽しさよりも不便さの方が目立って感じてしまいました。

攻撃アクションは爽快だけど、戦う意味を見いだせないシューター系バトル

バトルはFPSのようなシューター系。
ゲームの進行によってチャージや範囲攻撃など種類が増えていくのは良いのですが、敵にバリエーションがないので戦いそのものに単調さがありました。

まず攻撃アクション自体は楽しくて、手で印を結ぶかっこよさやエフェクトの派手さもあり爽快。
さらに、一定量のダメージを与えると魂を引っこ抜くというアクションが行えるのですが、これがめちゃくちゃ気持ちよかったです。
PS5のコントローラによるトリガーの重たさや振動の演出にマッチしており、「うんしょ!」と引き抜くのは楽しくてバトルへのモチベーションになりました。

問題なのは敵の種類で、衣装で見た目を変えているものの、攻撃パターンが一定すぎました。
とにかく突撃してくるタイプの敵が多く、戦っているときのプレイ感に差異が感じられないのもマイナス。
合わせて、たくさん倒してレベルをあげても攻撃能力が強化されないため、中盤以降はバトルするのが面倒になってしまいました。
なお、攻撃力を上げる方法はなく、弾の発射数増加や攻撃範囲の拡大のみで、強くなることで敵を倒すのがどんどん楽になっていくといった成長実感がない点も気になるポイント。
エリアによって出現する敵のちがいもないため、探索の楽しさにもつながっておらず、結果的にバトルアクションは気持ち良いけどあまり戦う意味がないようなプレイ感になっていたのはもったいないところでした。

おわりに

雰囲気やロケーションは抜群だけど、ストーリーやバトルにモチベーションが持ちづらい作品でした。
ただ、オープンワールドゲームとして縦の移動という新しさを見せていたり、探索中やサイドミッションにおける主人公たちのコミカルなバディとしての会話はとても楽しめたので、プレイ中の体感は必ずしもマイナスが大きくはありませんでした。
「東京観光がてら困っている霊を救うぞ!」くらいの軽いテンションでプレイするのがおすすめです!

ABOUT ME
たこ
積みゲーマーです! ジャンルはRPG・アドベンチャー・パズルが好きですが、とりあえず気になったものは全部やる!! 読みやすくて前向きなレビューになるように心がけています! 連絡先▷info@tsumige.net