レビュー

ライフ イズ ストレンジ2 [PS4] 評価・レビュー

『ライフ イズ ストレンジ2』ってどんなゲーム?

・シアトルに住む兄弟がある事件に巻き込まれ、メキシコまで過酷な逃避行をするアドベンチャー!
・次から次へと悲劇が降りかかる、とにかく重たく苦しい物語
・最初の重要な選択にプレイヤーが関与できないので、理不尽さに納得ができない
・自由奔放でトラブルメイカーな弟に悩まされる
・大変な状況が続くので選択肢に緊張感があり。生きるって大変だ!

公式サイト

ゲームレビュー

本作は、プレイヤーの選択によって物語が変化するアドベンチャーゲームです。
シリーズとしては2作目ですが、前作とのつながりはないのでここからプレイしても問題ありません。

今回の主人公は、シアトルに住む兄のショーンと弟のダニエル。
ごく普通の生活を送っていた兄弟は、物語冒頭でとんでもない悲劇的な事件に巻き込まれてしまいます。
そして超能力に目覚めた弟を連れ、自分たちの居場所を求めて父親の故郷であるメキシコまで逃避行をするというお話が描かれます。
また、本記事ではエンディングの雰囲気について軽く触れているため、ネタバレが苦手な方は回れ右でお戻りください。

なお、前作『ライフ イズ ストレンジ』の感想はこちら。
だいぶ昔に書いた文章なので拙い表現が目立ちますが、要約すると「女子学生と田舎の雰囲気がエモくて、サスペンステイストのストーリーも最高だった!」という感じです。

ライフ イズ ストレンジ [PS4] 評価・レビュー 『ライフ イズ ストレンジ』ってどんなゲーム? ・女子学生×田舎を舞台にした、美しくエモいジュブナイルアドベンチャー! ・青...

世間の厳しさをこれでもか!と味わえる、過酷な逃避行を描くアドベンチャー

『ライフ イズ ストレンジ2』の感想を一言でいうなら、苦しいゲームです。
兄弟の旅路はとにかく険しすぎて、山あり谷ありではなく、なだらかな丘があったとおもったら深い崖に叩き落されるぐらいのハードさ。
警察に追われる身であり、移民であり、子どもであり……世間の厳しさをフルコースで体験させられます。

そしてプレイヤーは、序盤から出会う人すべてイヤなやつなんじゃないかという警戒心を持ち、少しでも幸せなことがあるとその後で台無しになる、という負の連鎖を繰り返す体験が楽しめます。
本作ではさまざまな場面で発言や行動を選び、それによってストーリーが分岐していきますが、どんな選択をしても主人公たちがミラクルハッピーになることはありません。
どこまでも残酷で、苦しいお話が続きます。

では、つまらなかったのかというと……必ずしもそうでもありませんでした。
たしかに身に降りかかるあまりの理不尽さにイライラして、悲しい出来事をできるだけ回避すべく祈るような気持ちでプレイをしていました。
ただ、中盤以降はストレスが限界突破して完全にヤケクソになり、「あらゆる犠牲を払ってもメキシコに殴り込んでやる!」ぐらいの投げやりメンタルへとクラスチェンジ。
フラストレーションの溜まる状況に対して、意地でも打破してやるというハングリー精神を持つまでに至れたのは、本作でしか味わえない経験だったとおもいます。
それぐらい振り切ってしまう人はあまりいないかとおもいますが、かなり心がぐったりするストーリーなので覚悟して臨んでください。

最も重要な選択にプレイヤーが関与できないため、納得できないまま旅が進んでしまう

本作がいかに苦しい物語なのかは伝わったかとおもいますが、ここでもうひとつ大きな問題についてもお話します。
それは、選択によって物語が分岐するゲームにおいて、この過酷な旅路の始まりとなる最初の事件で行われる主人公の選択にプレイヤーが関与できないということです。
プレイヤー自身が選んだ道ならば、どんな悲劇が待ち構えていても「自分が選んだことだから仕方ない」と、それなりに納得できますよね。
けれど、最初のめちゃくちゃ重要な決断を兄のショーンが勝手にしてしまうのです。

……いや、ちょっと待ってくれよ。
私はそんなことしたくなかったし、選んだ行動によってお話が分岐するゲームなのにどうして大事な所はプレイヤーに選ばせてくれないんだよ!
そう、本作は物語のスタートから「どうしてそんなことするんだよ!」という気持ちでプレイが開始されてしまうのです。

旅を通じてショーンは、この事件における自分の振る舞いについて反省したり後悔をしたりします。
でも、プレイヤーはそれに関わっていないので、「大変な旅をすることになりました、がんばってください」と突き放されたような立ち位置に。
そのため、以降すべての決断に納得ができませんでした。
だって最初にちがう選択ができていたら、そもそも逃避行する必要もなかったのですから。

このように、本作では最も重要な選択をプレイヤーに選ばせていないため、納得しないまま物語が進んでいってしまうのはとてももったいない点だとおもいます。
旅をすることになっちゃったとしても、やるだけやって抵抗した後の結果ならば、その後に待ち受ける理不尽さも耐えられたのです。
しかし、兄弟たちが最善を尽くしておらず、プレイヤーの選択よって最善も尽くせないため、終始尻拭いをしているような感じになり、あまり楽しくはありませんでした。

プレイヤーを悩ませる弟……しかしクリア後の開放感はひとしお

クリアまでは15時間ぐらいでしたが、がっつりメンタルを削ってくる作品だったので体感はもっと長かった気がします。
マルチエンディングになっており、分岐条件は弟の道徳性。
会話での言葉遣いや行動の良し悪しなど、プレイヤーの選択によって変化し、異なる結末を迎えます。
とにかく大変な出来事が次から次にやってくるので、ひとつアクションを選ぶのにも緊張感があるのは印象的でした。
個人的にはとても苦労したうえでの終幕なので、展開的にミラクルハッピーは難しいとしても、かなり辛口のエンディングばかりだったのは残念だったかなと。

そして本作でもうひとつ、プレイヤーを悩ませる種が弟のダニエルです。
主人公であるお兄ちゃんは弟を守ろうとあの手この手でがんばるのですが、彼は自由奔放なトラブルメイカー。
幼いからで誤魔化せないぐらい事態をややこしくさせますし、兄の気持ちを知らずに反抗ばっかりしてくるので、多くのプレイヤーにとってフラストレーションの要因になるかなと。

このように序盤の選択に納得できず、弟に振り回され、報われないエンディングを迎える作品ではありますが、プレイ中のストレスが高いだけにクリア後の開放感はとてもありました。
また、辛く苦しい旅の合間にかかるエモい音楽は微かな癒やしになっており、前作『ライフ イズ ストレンジ』では女子学生同士が仲良くしていて楽しかったなと物思いにふけてしまうことも。
なんだかんだとマイナスポイントばかりあげていますが、終わってみれば体験としてはオリジナリティがあって良かったような、こんな苦しい思いをする必要があったのだろうか……と、心に爪痕を残す作品でした。

おわりに

世間の荒波にもまれる過酷な逃避行を描いた、重たいアドベンチャーゲームでした。
どこまでいっても苦しい展開が続きますが、それゆえ選択肢に緊張感があり、生きることの大変さを改めて思い知らされるような作品だったかなと。
メンタルがゴリゴリ削られる作品なので、プレイする際は連休中など元気な時期を狙うのがおすすめです。

ABOUT ME
たこ
積みゲーマーです! ジャンルはRPG・アドベンチャー・パズルが好きですが、とりあえず気になったものは全部やる!! 読みやすくて前向きなレビューになるように心がけています! 連絡先▷info@tsumige.net