『FORSPOKEN』ってどんなゲーム?
・異世界に転生し、魔法を使って探索するオープンワールドアクションRPG
・移動制限により自由に探索できず、収集要素の薄いフィールド
・スピード感のある魔法パルクールは、操作が難しくカメラが酔いやすい
・魔法を使ったバトルはシューター系の操作感。種類も多くド派手なエフェクトだけど体感は地味
・ストーリーは大味で単調。演出にも手抜き感があり、クリアまで17時間
ゲームレビュー
記事の目次
本作は、異世界「アーシア」に飛ばされた若きニューヨーカー「フレイ」の旅を描いたオープンワールドアクションRPGです。
浮遊感のある魔法パルクールアクションや、攻守に使える多彩な種類の魔法を用いたバトルが特徴。
広大な世界を冒険し、故郷へと戻る方法を探しながら、世界の真実と向き合うことになるという物語が描かれます。
収集要素やサブストーリーが単調で、自由に探索できないオープンワールド
オープンワールドゲームとしては物足りない作りでした。
まず、あくまで私の体感ですが、自由に探索ができるようになるまでのストーリーが長いと感じました。
たとえば、PS5『Horizon Forbidden West』では、最初のチュートリアル遺跡を突破するとすぐにオープンワールドを冒険できます。
本作ではニューヨークのシーン、バトルのチュートリアル、街でのイベント、限られた範囲でのフィールド探索と、自由に歩き回れるようになるまで数時間かかります。
特にイベントシーンが多く、探索と魔法アクションを楽しみにプレイを開始するとモヤモヤさせられるかなと。
そして、いざ「探索するぞ!」となってからも移動可能な範囲が制限されていたり、目的地がめちゃくちゃ遠かったりと不親切さが目立ちました。
特に気になったのは、マップに表示されているアイコンの場所を訪れてみたところ、その時点では行けないケースが多かったこと。
オープンワールドゲームにおけるプレイ時間の大半は探索を楽しんでいるので、こうした徒労感はモチベーションの低下につながると感じました。
音楽が常に暗い雰囲気だったことも、楽しく冒険できない要因のひとつだったようにおもいます。
また、オープンワールドゲームといえば収集要素ですが、本作は8割が宝箱探しで、残りもほとんどバトルのみと手抜き感は否めませんでした。
サブストーリーである「サイドパス」も数が少ないわりに猫を追いかける、目的地に移動する、写真を撮影するなどシンプルなものばかりで退屈だったかなと。
街もひとつしかないので、オープンワールドを探索するというより拠点を中心にしたお使いという小さい規模に収まっていたのもネガティブな印象でした。
バトルはエフェクトが派手でも体感は地味。魔法パルクールは酔いやすい
魔法を使ったパルクールアクションは、スピードと浮遊感があり、独特の移動手段として機能していました。
ただ、カメラがぐるんぐるん回るからか私の操作が下手なのかはわかりませんが、目的地を通り過ぎてしまったり高低差を越えづらかったりと、スムーズに動かせず結構酔いました。
くわえて、拠点となる街の中ではパルクールが行えないといった制限もあり、魅力を生かしきれていないと感じる場面が多々ありました。
個人的に気になったのは、アイテム類の回収範囲が狭いこと。
落ちているアイテムを取るために魔法パルクールとダッシュを併用して移動速度を調節する場面も多く、高速で動けるという魅力を阻害していたように感じます。
バトルはシューター寄りの操作感で、さまざまな魔法を切り替えながら戦います。
良かった点としては、魔法のエフェクトが派手で見た目の迫力があったこと。
銃のように撃つ攻撃だけでなく、敵の行動を阻害する補助魔法など種類も多く、私は火の豪快さが気に入ってよくぶっ放していました。
戦いに関するアクションの種類や見た目は魅力的だったのですが、敵に対して魔法を当てている実感が弱いのはマイナスポイントでした。
ネガティブに説明すると、エフェクトでごまかしているような印象があり、敵を攻撃しているというよりピカピカ光っているだけという感じ。
ゆえに敵を倒す爽快感が弱く、見た目は派手なのに戦っている本人は地味に魔法を撃っているだけというプレイ感で物足りなさがありました。
また、初期のボタン配置が不便なのは気になりました。
デフォルトだとパルクールをしながらの視点移動がしづらいんですよね。
キーコンフィグはあるものの、遊びやすい初期設定にしておいてほしかったところです。
それから本作は、マント・ネックレスという装備品を強化する育成要素があります。
見た目が変わるだけでなく、特典でもらった猫柄のマントは暗闇で目が光るなどこだわりもあり良いポイントでした。
また、ネイルも装備が可能で、能力はもちろんマントに合わせたコーディネートをするのも楽しかったです。
しかし、育成のシステムには問題あり。
装備品ごとの性能差をカスタマイズによって埋めやすいため、基礎パラメーター上げにリソースをさきがちなのです。
それゆえ、素材を無駄にしないように序盤から持っていた装備品をコツコツ育てた方が効率が良く、結果的に装備を集めるためにオープンワールドを探索するという気持ちを削いでしまっていました。
ストーリーは敵を倒すだけの単調な流れ。キャラクターの魅力も弱い
探索があまり楽しくなかったので、中盤以降、ほぼサボってクリアまでは17時間半ぐらい。
ストーリーは、孤児でギャングに追われて犯罪も犯している主人公が、絶体絶命に追い詰められたところで異世界転生するという重たい雰囲気の始まり方でインパクトがありました。
ただ、異世界に転生してからは、とりあえず悪いやつがいるから倒そうという大雑把な流れに。
敵を倒すだけの単調な展開も物足りなかったのですが、特にネガティブに感じたのは物語終盤。
ナレーションでがっつり歴史や世界の真実が説明されてしまったので、演出が手抜きっぽい印象がありました。
演出というと、イベントシーンがカットごとに暗転が入り、ぶつ切りみたいな見え方になっていたのも不自然さが目立ちました。
主人公の魅力も弱め。
世界を救うことに対してあまりモチベーションがなく、流されるままに行動している感じで感情移入しづらいと感じました。
くわえて、敵にヒステリックな人が多く、うるさいだけで話が通じないのも気が滅入るかなと。
とある事情のためこうした状況になってはいるのですが、それでも愛着が持てるキャラクターとしては描けていないとおもいました。
このように主人公も敵もあまり好みではなかったのですが、相棒であるクセの強い腕輪「カフ」とのやりとりはおもしろかったです。
時に皮肉を、時に叱咤激励してくれるカフとの会話は生き生きとしており、退屈な探索の清涼剤になっていたとおもいます。
(会話が発生する頻度は調節できるのですが、「高い」に設定するぐらい気に入っていましたw)
ただ、一部のシーンでは会話が終わるまで移動やカメラ操作を受け付けず、その場に棒立ちになることがあり、違和感が出てしまっていたのはもったいなかったです。
さいごに
魔法を使ったバトルは楽しかったものの、探索要素の薄いオープンワールド、大雑把で演出に手抜き感のあるストーリーと全体的にはネガティブな印象の作品でした。
ボリュームはあまりないので、派手な魔法をぶっ放しながらさくっと異世界を冒険できる点は良いとおもいます。
それから魔法パルクールによるアクションは結構酔いやすいので、苦手な方は要注意です。