『VA-11 HALL-A』ってどんなゲーム?
・カクテルを作りと会話を楽しみながら、ギークなサイバーパンク世界にどっぷり浸れるバーテンアドベンチャー!
・レシピから配合してカクテルを作るアクションは錬金術のように楽しい。
・個性的な来店客たちにはドラマがあり、徐々に絡み合ったりしながら展開するので先が気になる!
・ピクセルアートが美しい!近未来の世界を満喫できるフレーバーテキストも豊富。
ゲームレビュー
記事の目次
本作は、近未来のバー「VA-11 HALL-A(ヴァルハラ)」のバーテンダーとなり、カクテルを作りながらさまざまな人々と交流していくサイバーパンクアドベンチャーゲームです。
プレイヤーはバーテンダーの女性ジルとして、訪れる客たちの話し相手をしながらカクテルを提供します。
来店客は傲慢な編集長・街の治安を守るホワイトナイト・セクシャルワーカーのアンドロイドをはじめ、個性豊かでワケありの人物ばかり。
彼らが紡ぎ出す日常を見ながら、カクテルを提供して物語が分岐していくという作品です。
腐敗した政府と大企業が牛耳るディストピア的な世界観と、ギークなサイバーパンクの雰囲気が美しいピクセルアートで描かれる点も魅力ですね。
夜だけ営業する喫茶店のバリスタになり、コーヒーなどを淹れて来店の人生を変える『コーヒートーク』もプレイ感の近いゲームでした。
こちらのほうがストーリーがシンプルでライトに遊べる作品かなと。
おしゃれで手軽にプレイできる毛色の変わったバーテンアドベンチャー
基本的なプレイサイクルは、カクテルを作ってお客さんと会話をすることの繰り返し。
そのため、少し作業っぽさを感じるかなとおもっていましたが、しばらく作っていると手際よくレシピを探してカクテルをミックスできるようになるため、プロのバーテンダー気分で楽しくプレイできました。
来店するキャラクターもそれぞれに関係性やドラマがあるため、次に誰が来店するのか、このキャラクターの日常はどうやって変化していくのかという期待感がありました。
また、バーのBGMを自分の好きなものからジュークボックスにセレクトしてセットしたり、テレビの映像を切り替えられたりするので、自分のお店という感覚を得られるのも良いですね。
1周クリアまで10時間ぐらい。
エンディングは大きくグッドエンドとバッドエンドの2種類があり、しっかりカクテルを提供してお金を稼いでいけばグッドエンドに辿りつけます。
また、クリア後にはキャラクターの個別エピローグが追加されますが、条件分岐が少しわかりづらいのでノーヒントでたどり着くのは難しいかなと。
会話ベースで進行する作品なので、この辺りのプレイハードルは下げても良かったとおもいました。
まるで錬金術のようなカクテル作り。音も心地よく、繰り返すと癖になるおもしろさ
私はお酒を飲まないのですが、カクテルを作るアクションはとても楽しめました!
5種類あるフレーバーをレシピに従って配合し、「氷・熟成・ミックス・ブレンド」といった手順によって仕上げていきます。
同じフレーバーなのに量や作り方を変えるとまったく異なるカクテルになるため、錬金術を使っているような感覚で新鮮味がありました。
慣れてくると、どのフレーバーがどんな味になるのか想像できるようになり、お客さんの要望も「軽くあしらっちゃうぜ!」とベテランバーテンダー気取りもできるかもしれませんw
カクテル作りは会話の合間にあるちょっとしたイベントですが、シェーカーにフレーバーを入れた音や氷を入れた音などが心地良く、おしゃれな雰囲気も感じられました。
そうそう、インターフェースはごちゃっとしていながらも整然さがある独特なもので、ギークな感じがとても好きでした。
スマホアプリが追加されていったり、ショップで買ったもので私室がにぎやかになったりと、ちょっとした生活感を得られる演出も良いですね。
バーだけでなく、ゲーム全体として世界観やロールプレイを楽しめる作りになっていたとおもいます。
作り込まれたサイバーパンクな世界観とピクセルアートの美しさ
しっかりと作り込まれているサイバーパンクな世界観も最高でした。
本作では世界についてがっつりした用語説明はなく、お客さんとの会話・Webのニュースサイト・掲示板から理解できるようになっており、自然に没入できる感覚がありました。
組織・ガジェット・社会の仕組みやキャラクターの置かれている状況などがバーでなされる何気ない世間話のなかで伝えられ、物語の進行に応じて徐々に全体像が示されるのも良いですね。
また、主人公の過去についての話や状況が大きく変化するキャラクターもいるため、ストーリーとしての起伏もしっかりとあり、終盤まで間延びせずにプレイできました。
ただし、下ネタやセクシャルな話題もがんがんされるので、苦手な方は要注意です。
(ダイレクトな表現がありますし、セクシャルワーカーや同性愛なども描かれます)
グラフィックは繊細なピクセルアートで構成されており、ギークさのあるサイバーパンクな世界観へのとっつきにくさを緩和していました。
また、会話シーンではキャラクターの表情が豊かに変化。
時々メリハリとしてイベントスチルがあったり、バーの裏手やちょっとしたミニイベントも用意されていてリッチな印象がありました。
まとめ
会話やカクテル作りを通じ、ピクセルアートで描かれたサイバーパンク世界で生きるキャラクターたちの日常を垣間見られる毛色の変わったアドベンチャーゲームでした。
魅力的で癖のあるお客さんたちとの交流は、未知に踏み込むようなわくわく感があり、物語の起伏も用意されているので夢中になってプレイできました。
カクテル作りもおしゃれで楽しく、BGMのセレクト・インテリアのカスタマイズ・ミニゲームなど、細かな部分に生活感を得られるのも良いとおもいました。
さくっと遊べるボリュームで物語・バーテンアクション・世界観を存分に味わえる作品なので、アドベンチャーゲームが好きな人にはおすすめの1本です!