『The Last of Us Remastered』ってどんなゲーム?
・パンデミックで崩壊したアメリカを縦断する、中年男と少女のサバイバルアクションゲーム
・序盤から世界観に引き込むスピーディな展開。以降のロードムービー的なストーリーも王道で2人の関係性の変化も魅力
・カットシーン以外に移動中の何気ない会話にもドラマがあり、プレイヤーが徐々に感情移入できる作りになっている!
・ステルスアクションは即死もあり、サバイバル要素による緊張感も相まって難易度は少し高め
・ゾンビが苦手ゆえ敬遠していましたが、段々慣れてきちゃうので、全PS4ユーザーにプレイして欲しい傑作!
ゲームレビュー
記事の目次
謎の寄生菌による爆発的な感染で崩壊したアメリカを舞台に、中年男と少女が過酷な旅に出るサバイバルアクションゲームです。
開発は、冒険アクション『アンチャーテッド』シリーズを手掛けるノーティドッグ。
「やべやべやべ!」なテンションとはうって変わって、本作では極限状態における人間を描いたシリアスな作品です。
パンデミックにより人口は激減、都市は自然に飲み込まれ、生存者たちは生き残っていくために必要な物資をめぐって敵対する世界となります。
こうした過酷な状況のなか、アメリカ横断の旅に出るこのゲームの主人公たちが、パンデミックによりすべてを失った男「ジョエル」と家族の愛を知らずに育った少女「エリー」です。
始めはお互いに心を閉ざしていましたが、寄生菌に侵された感染者や物資を狙ってくる人間と戦いながら、旅を通じて理解しあい、次第に信頼関係を築いていくという物語です。
なお、PS3で発売された同名タイトルのリマスター版である本作は、グラフィックの向上にくわえて、エリーの過去が描かれる追加エピソード「Left Behind -残されたもの-」が追加されています。
続編である『The Last of Us Part II』のレビューはこちら。
めちゃくちゃ重たいですが、新たなテーマに挑戦した傑作です。
関係性の変化と丁寧に描く、中年男と少女のロードムービー
『アンチャーテッド』シリーズで描いてきたゲームによる映画体験を、よりブラッシュアップしたような作品でした。
特にストーリーに関する描写は緻密になり、キャラクターの心の機微を美しいグラフィックと合わせて丁寧に表現しているので、必ず胸にグッとくるものがあります。
こうした物語部分はドラマチックなカットシーンのみに頼らず、フィールドを移動中のちょっとした会話でも補完されるので、ゲームを進めていくなかでプレイヤーが少しずつキャラクターに没入できる作りになっているのもいいですね。
さて、ストーリーはオーソドックスなロードムービーです。
反発しあっていたジョエルとエリーが、人々との出会いやさまざまな経験によって、徐々に信頼をしていくというお話。
そして、過去に起きた出来事から他者との関係を拒んでいたジョエルが、次第にエリーを本当の娘のように意識していく様子は感情移入してしまうこと必至です!
(余談ですが、私はトラウマを抱えたおっさんが少年少女によって変化するストーリーが大好きで、最近観たNetflixの映画「タイラー・レイク」もハマりましたw)
一方、ジョエルとエリーにフォーカスした物語のため、他のキャラクターに関するシーンは少なめという印象がありました。
しかし、登場人物たちは崩壊した世界で生き抜き、それぞれ異なる思考を持っており、時に2人の関係性に亀裂を与えたり、絆を深めるキッカケになっていました。
彼らの人となりを理解するには少し時間が足りませんが、2人の物語を描くことを主題にした本作においては、十分に存在感を示せていたとおもいます。
リアルな緊張感が味わえるステルスアクション
ストーリーはもちろん評価できる作品なのですが、アクションパートもがっつりプレイできました。
バトルは基本的に隠れて戦うステルスアクションで、感染者や人間を武器・モノ・遮蔽物などを駆使して倒し、道を切り開いていきます。
エリアにいる敵は全員倒さなくても目的地に移動すれば突破できるので、後述している限られた武器や物資のなかで、戦うべきか否かを判断するリアルな緊張感が味わえました。
ただ、戦いを避けられない場面もあるので、リトライはしやすいものの、アクションが苦手な方は武器や投げ物をたくさん用意したり、ゲームの難易度を下げるのをおすすめします。
ちなみに、私は脳筋ゆえにあまり隠れるのが得意ではなく、ゴリゴリに倒しながら進めていたのですが、油断するとバッチリ見つかって喰い殺されてしまうので大変でしたw
人間はいろんな手段で殺せるのでまぁなんとかなるものの、感染者のうち、即死攻撃を仕掛けてくるクリッカーや胞子をまき散らすブローターが厄介なんですよね。
(しかも感染者は一度プレイヤーを発見すると、めっちゃ集まってくるのでボコボコにされますw)
また、本作は『アンチャーテッド』のように自然な形でアクションエリアが分かれています。
ロケーションは人間たちが多くいる隔離地域、郊外の住宅街、高層ビル群、そして森やダムなど多彩なので、敵のバリエーションの少なさによるマンネリ感はありませんでした。
資源をやりくりして戦いの選択を決めるサバイバル要素
本作はサバイバルアクションなので、エリアに落ちている素材を集めて、ナイフ・治療キット・爆弾といったアイテムをクラフトできます。
ただ、治療キットと火炎瓶は必要な素材が同じだったり、刃物は武器の強化・ナイフ・爆弾など用途がたくさんあったりするので、限られた資源のやりくりが求められます。
また、インベントリを開いている間もゲームの時間が進行するので、敵が迫ってきているなかで回復するといったドキドキ感も味わえました。
武器を改造したり、キャラクターの能力をアップさせる育成要素はあり。
物語が進むにつれて感染者の能力は変わらないものの、人間が銃を持つなどパワーアップしていくため、エリアをしっかり探索して育成アイテムを探す必要があります。
しかし、そもそも敵が徘徊している場所も多いので、「ここはアイテム集めを優先するか、それとも先に進むことを優先するか」といった選択も生まれ、サバイバル感を高めていたとおもいます。
現実と似て非なる、崩壊後のアメリカ
旅をする場所は寄生菌のパンデミックが発生したアメリカなので、都市は荒廃して打ち捨てられています。
建物はいまにも崩れそうですし、店やホテルは物取りにあったのか荒らされている状態、辛うじて残った民家にもいるのは感染者ばかり。
そうしたポストアポカリプスな世界ですが、ビル街や高速道路に青々とした植物たちがたくましく育っており、現実をモチーフにしていながらまったく異なる世界のような印象を受けました。
何より、人間がいなくなったことで生まれた豊かな自然は、感染者たちとの戦いに疲れたプレイヤーの心の癒やしになるかなと!
(私も地下や閉鎖された空間から草木が茂るエリアに出たときは、ほっとした気持ちでした!)
また、本作はCERO Zなのでグロ描写がありますが、リマスターで鮮明にはなっているものの、最近のバイオシリーズに比べれば感染者のビジュアルは可愛い程度です。
むしろ、対人間の近接アクションで、頭を壁にぶち当てて踏みつけたりガラスを喉に突き刺したりするなど、ややアグレッシブだったかなと。
最後にやりこみ要素としては、コレクションアイテムを集めたり、エリーのジョークを聴いたりといったものが用意されています。
なかでも「遺物」という手紙やメモ、チラシといった読み物コンテンツは、感染が拡大していくなかで起きた出来事を垣間見られるので、世界観をより深く理解するために積極的に集めるのをおすすめします。
さいごに
荒廃した世界を舞台に旅をする2人を描いた物語は素晴らしく、サバイバルアクションとしての緊張感もしっかり味わえる傑作でした!
徐々に変化していく2人の関係性にほっこりしたり、過酷な状況に胸を痛めたり、時に感染者を倒してスカッとしたりとゲームプレイ中にいろいろな感情が体験できる、映画的でありながらとてもゲームである作品だったとおもいます。
ゾンビやバトルが苦手な方も、難易度を下げることでクリアがしやすくなりますし、段々と倒し慣れてしまうので、そういった理由で敬遠されている方にもおすすめですw
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