『The Last of Us Part II』ってどんなゲーム?
・2人の少女を中心とした復讐の物語が描かれる、サバイバルアクションアドベンチャーゲーム
・テーマが復讐なので冒頭から重たい展開が待っており、決して精神的に楽なゲームではありません
・しかし、この作品を通じて描こうとした人間の感情には唯一無二の価値があり、とても心に残る1本になった!
・グラフィックはPS4最高峰!作品で描かれるつらさや痛々しさをよりリアルなものとして体験できる点も素晴らしい
・ストーリーに関して一部不満はあるけれど、作中で語れるさまざまな「Us」の関係性も興味深く楽しめた!
ゲームレビュー
記事の目次
寄生菌により荒廃したアメリカを舞台にした、サバイバルアクションアドベンチャーゲームの2作目。
前作で主人公だった「エリー」、そして新キャラクターの「アビー」を中心に凄惨な復讐劇を描きます。
世にある多くの続編はそこからプレイしても問題ないことが多いですが、本作では絶対に前作のプレイを推奨します。
ちなみに、私のPS4リマスター版のプレイ感想はこちらです。
本作のキーマンである渋い男性「ジョエル」と子どもだった頃のエリーが過酷な旅に出る物語です。
憎しみ・後悔・すれ違い──復讐が生む苦しさを体感できる物語
前作から5年の月日が流れ、生き残った生存者たちのコミュニティは発展し、危険な旅を終えたエリーとジョエルは雪深いワイオミング州ジャクソンにて安らいだ生活を送っていました。
しかし、物語冒頭に起こったある出来事により穏やかな日々は終わりを告げ、エリーはすべての標的を皆殺しにするために復讐の旅に出ます。
本作ではエリーの復讐、そして新しく登場したアビーという2人の少女を中心に進行します。
物語は現在進行系の行動だけでなく、過去の回想シーンも盛り込みながらそれぞれの人間関係を描いていきます。
前作ではジョエルとエリーの「Us」にフォーカスしていましたが、本作ではさまざまな「Us」が存在します。
エリーとアビー、エリーとジョエル、アビーとオーエン、エリーとディーナ、アビーとレブ……など。
それぞれの「Us」に恋人・親子・友人など異なる関係性や障害があり、互いに影響しあっているため、プレイヤーはゲームを進めながらそれらを知って悩まされます。
また、行動による影響も直に体験してしまうので、片方が決意を持って行ったことに対して、もう片方のルートで後悔に苛まれるということも多々。
復讐の連鎖とはよく語られますが、まさにそうした事象が生む苦しさを体感できる作品でした。
では、なぜ私が満点の評価にしなかったのかというと、最終盤の展開がご都合的に感じてしまったからです。
ネタバレになるため言及はしませんが、直前までとてもよく練られた構成になっており、最高に盛り上がる形で相まみえるので、その後がどうしても必然性がないように見受けられました。
そして、すべてのプレイヤーが期待するエリーの凄惨な復讐劇の果て、に対する答えが明確でなかった点もマイナスでした。
一緒に苦しい思いをして旅を続けてきたので、結末の心境も共有にしたかったのです。
彼女の寡黙な性格ゆえかもしれませんが、もう少し心情を語ってくれれば印象も変わったかもしれません。
ちなみに、私はアビー編の方が好きで、キャラクターの感情変化が丁寧に描かれていたとおもっています。
エリーと対比的な生き方や性格は興味深く、考えさせられることもたくさんありました。
一方、エリーに関してはやや不満があり、物語の序盤で起こる決定的な出来事に対する気持ちをもっと描いてほしかったです。
パッケージや謳い文句で語られる「復讐」に対する強い思いが、個人的には少し弱いと感じたのです。
とはいえ、ストーリー全般的にはとても満足していて、重いテーマ性や人間の感情が持つ複雑さをしっかり描いたことには価値があり、とても心に残る1本でした。
PS4史上最高のグラフィックで楽しむ、美しい風景と過酷なドラマ
グラフィックは、間違いなくPS4最高峰。
キャラクターは細かな表情まで人間らしく、馬に乗ったり段差を登ったりといったちょっとしたアクション、バッグやロープの挙動などとてもリアルでした。
とにかくゲーム内で描かれるすべての映像がとても自然なので、ドラマや映画を観ているような感覚でプレイできます。
個人的には、銃を作業台でカスタマイズするシーンが好きで、カチャカチャと心地よい音を立てながらパーツを組み替える作業を行うのは気持ちよかったですし、リアルへの徹底したこだわりを感じられました。
また、グラフィックが美しくなったことで、必然的にグロさもパワーアップしました。
感染者たちには色んなものが体にできているのでとても気持ち悪いですし、彼らが生息するエリアも胞子によって大幅に侵食されており、作中のキャラ同じく長時間滞在していると具合が悪くなりそうでした。
さらに、テーマが重たいので過酷な場面にもたくさん遭遇しますが、心だけでなく見た目にも痛々しい描写が増えたため、プレイしていて渋い顔になることもしばしば。
日本語版は一部の表現に規制がありますが、プレイ前は「よし、やるぞ!」と気合いを入れて臨むこともありました。
マップの構造は前作同様にゆるかな形でエリアが分かれており、自然とビルが共存する本作らしいロケーションが中心。
人間コミュニティが拡大しているからか、前よりも屋外で活動することが多くなって視覚的に見やすくなりましたね。
また、同スタジオのアクションアドベンチャー『アンチャーテッド』にあった、ワイドリニアな少し広めのエリアが追加されました。
ストーリーの重さや感染者との戦いで気持ちが閉塞しがちなので、こうした広々したエリアは心のリセットになっていたとおもいます。
ストーリー上、同じ場所を異なるキャラクターで訪れる機会もあったのですが、その時の状況や心情によってまったく異なる印象を受けるのは良い演出でした。
特にエリーとアビーの対比構造が明確なお話なので、それにもマッチしていたとおもいます。
ステルスアクションはより多彩に。難易度はプレイヤーのレベルに合わせて調整可能
ステルスアクションは前作よりもパワーアップし、しゃがみよりも敵に発見されずらくなる伏せアクションが追加。
敵の種類も増え、においでプレイヤーを検知する犬、弓矢を使う連携力の強いセラファイトなどがおり、状況に応じた一辺倒ではない戦い方が求められるかなと。
また、人間や犬は敵であっても全員に名前が付いており、倒すと仲間が悲痛な声で呼びかけるなどプレイヤーの心をえぐってくる演出が追加されました。
本作のテーマは「復讐」ですが、こうしたNPCとのバトルシーンにおいても感じられるようになっており、本編の重たさに加えてプレイヤーのメンタルをガリガリ削っていくる作りになっています。
ホラーゲームのようにビックリさせる演出も少し増えた印象で、伏せ移動状態や壁の隙間を抜けた先に感染者が突然現れたときはいつも盛大に焦りましたw
サバイバル要素は前作をベースに、スキルツリーの自由度があがったり、クラフトできるアイテムの種類が増加。
エリーとアビーはそれぞれ戦い方が異なるので、特徴を生かしたバトルができるのも良かったですね。
ゲームの難易度は「VERY EASY・EASY・NORMAL・HARD・SURVIVOR」から選択可能で、ストーリー進行やトロフィー獲得に影響がなく、プレイ中いつでも変更できます。
さらに、敵の強さや見つけやすさ、視覚情報やアクションの挙動などとても細かい部分まで調整ができます。
そのため、「バトルが苦手なプレイヤーでも必ずエンディングまで連れていくぞ!」という開発の気概が感じられました。
本作の物語は進めば進むほど心が苦しくなっていくのですが、終わらずにはいられない内容なので、アクションの難易度を調整できるのは良いカスタマイズ要素だったとおもいます。
さいごに
2人の少女を中心とした復讐が生み出すさまざまな苦しさを、最高のグラフィックでリアルに描いた作品でした。
ストーリーは決して明るいものではありませんが、対比的な物語構造は素晴らしく、人間の感情も丁寧に描いており、クリア後は必ず深く心に印象付けられる1本です。
いろいろと心がつらい作品ではありますが、精神を強く持てる方は、前作をプレイ後にぜひ挑戦してみてください!
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