『龍が如く7 光と闇の行方』ってどんなゲーム?
・新主人公である「春日一番」が、絶望のどん底から成り上がるシリーズ初のRPG
・人情あり愛嬌あり、とにかく惹かれる一番のキャラクター性!
・因縁のライバルとの対決や親父との関係性など、シリーズらしい硬派なストーリーは健在!
・ターン制コマンドバトルは、プレイヤーの意図を戦略に反映しづらくイマイチ
・街遊び要素はバリエーション豊かに。見た目は龍でも中身はしっかりRPG
ゲームレビュー
記事の目次
本作は、裏社会を中心にした漢たちの熱いドラマを描くRPGで、新主人公である「春日一番」が活躍するシリーズ7作目です。
舞台は異国情緒と開放感のある横浜・伊勢佐木異人町。
兄貴分の罪を被って刑務所に入った一番は、出所後、信頼していた親父から撃たれ失意のまま横浜のホームレス街で目を覚まします。
そして絶望のどん底にあった主人公が、多くの仲間とともに成り上がり、巨悪を打ち倒すまでの物語が描かれます。
シリーズ最新作ではありますが主人公は交代し、完全新規のストーリーが描かれるので本作からでもプレイしやすい作りに。
また、ジャンルがアクションからRPGに変更され、バトルが直接殴るものからターン制コマンドになりました。
(ちなみに私はシリーズ全作品プレイしていて、推しは伊達さんです!)
なお、本作はPS5/PS4/Xboxなどで発売されています。
人情味があっておバカだけど憎めない、愛嬌のある新主人公を生かすストーリー!
とにもかくにも、新主人公の「春日一番」がとても良かったです!
当初、ニヤッとした顔やインパクト大のアフロからやんちゃ系っぽい印象のあった一番ですが、人情味のあるポジティブなおバカで、愛嬌のあるめちゃくちゃ良い子でした。
よく笑い、よく泣く……子どもみたいに純粋なおっさんなので、プレイしていくうちになんだか可愛く見えてくること間違いなし。
長期シリーズのため、前作までの主人公である「桐生一馬」とはどうしても比較されますが、異なる魅力をしっかり出せていたとおもいます。
ストーリーとしても桐生ちゃんとは違う、一番らしい魅力や人となりを押し出す内容になっていたかなと。
それは初代『龍が如く』にストーリー構成が似ていたことで、顕著に感じられました。
出所から始まる物語、因縁のライバルとの対決、尊敬する親父との関係性が語られるなど、1作目を彷彿とさせる流れに。
ただ、似ているからこそ違いが鮮明になっており、対立や葛藤を描いていても一番らしい人を信じすぎるけど憎めない感じ、おバカだけど芯の通った信念から派生する展開は大きく異なるものになりました。
成り上がりというコンセプトを軸に『龍が如く』らしい硬派な漢のドラマはありつつ、一番ならではの優しさから生まれる温かみも見え隠れする話だったかなと。
ゆえに、本作をプレイすると「春日一番」というキャラクターを深く理解でき、人を魅了する彼の良さに触れられるとおもいます。
また、桐生ちゃんは背中で語るタイプでしたが、一番は仲間と手をつないで敵に立ち向かっていくタイプ。
そしてただのおバカではなく、自分の力量を理解しており、その範疇でできる最大限のことに取り組もうとする一生懸命さがあり、ゆえに周りに人が集まってくるというキャラクターでした。
そこはかとなく溢れてきちゃう愛嬌が魅力的なんですよねw
こうした主人公なので、バトルが1対多のアクションからパーティを編成して戦うRPGになったというのは納得できるものでした。
プレイヤーの狙いが反映しづらい、ライブ感のあるターン制コマンドバトル。
とはいえ、ターン制コマンドバトルは正直イマイチでしたw
シリーズファンとしては、目の前のイラッとするやつはどうしてもボタンを押して殴りたくなるというさがというのは置いておくとして、RPGとしては戦略性が弱いのは気になるかなと。
まず、本作は「ライブコマンドRPGバトル」となっており、ターン制コマンドバトルですが、敵の立ち位置や街の状況がリアルタイムに変化します。
つまり、敵が動いたり車が走ってきたりするということです。
そのため、自分と攻撃対象となるターゲットがどこにいるかが重要で、的確なコマンドによっては複数の敵を巻き込む攻撃ができる一方、移動中に殴られて攻撃がキャンセルになってしまうこともあります。
と、記載すると「戦略性あるじゃん」とおもわれるかもしれませんが、実際はあまり機能していません。
それは敵がランダムに移動しすぎてしまうため、プレイヤーの狙いを反映しづらいからかなと。
つまり、巻き込み攻撃やその辺に落ちている自転車を使って攻撃したいとおもっても、たまたま敵が攻撃の当たる位置にいないと行えないのです。
加えて、敵の位置を意図的に変える技などもないため、偶発性に頼った戦い方が求められ、結果的に強力な単体攻撃や確実に全体に当たる攻撃などが強い印象がありました。
そのため、ライブ感を生かすならプレイヤーが使いたい戦略を実現できるような、技や仕組みが必要かなと感じました。
また、新要素であるハローワークで転職する「ジョブチェンジ」ですが、初期ジョブが結構便利だったこともあり、一度も転職しないままクリアしたキャラクターもいました。
もちろん転職をしたほうが基礎ステータスを上げられるので強くはなるのものの、ストーリー攻略を優先する場合、育成に時間がかかるため避けがち。
個人的に、あまりバトルが好きではなかったことも転職回数の減少につながっていましたが、ジョブによっては個性的な攻撃方法があったり、衣装がおもしろかったりと見た目の変化は楽しめました。
現代の都市が舞台でも、しっかりRPGらしい要素が感じられるおもしろい作り!
シリーズ恒例となった箱庭を舞台にした街遊び要素は、RPGになったことで多様化し、楽しくなったとおもいます。
まず、本作では「人間力」というパラメータが追加され、これを育てることで新たなジョブやサブストーリーが開放されたり、バトルにおける状態異常確率を軽減したりできます。
そのため、人間力を高めていくことを目標にさまざまな遊びにチャレンジするのですが、過去作以上に本編とはまったく関係ないけどやりこめるものが多かった印象があります。
たとえば、資格学校で挑戦する四択クイズ、街を爆走するドラゴンカート、ネタ的に際どいスジモン図鑑集め、お金を稼ぐ缶拾い、煎餅屋を大きくする会社経営など。
人間的にも未熟で貧乏な一番ゆえ、いろいろな遊びや地道なお金稼ぎに挑戦しても違和感がなく、やりこみ要素としても充実していたとおもいます。
余談ですが、カメラのフィルター機能を使い、おっさんたちが犬耳を生やして自撮りをする姿はとてもキャッチーで最高でしたね。
また、RPGらしい武器・防具の強化や育成ダンジョンも、町工場で武器を作ったり地下道がダンジョンになっていたりと、上手いこと現代の都市になじませていたのもおもしろい点でした。
RPGによくあるクラフトやお使いクエストも、お弁当作りやヒーローのアルバイトといった形で再現。
ゆえに、見た目は明らかに『龍が如く』なのですが、プレイしている感じはRPGになっており、シリーズ未プレイの方でも入りやすい作りになっていたかなと。
個人的には、素材集めが面倒だったのとダンジョンがだだっ広くて歩くのが手間だったので、そのあたり次回作では改善してほしいですね。
おわりに
新主人公は愛嬌あって可愛いし、硬派で熱い漢のドラマが描かれるストーリーも良かったのですが、バトルがイマイチ楽しくなった作品でした。
ただ、『龍が如く』でありながらRPGっぽさをしっかり感じられる作りになっていたので、変わり種のRPGという認識でプレイすると楽しめるかなと!
次回作ではより戦略性がありつつ、『龍が如く』らしい爽快感も感じられるバトルに期待したいです。
ちなみに、敵をがっつり殴りたい方には同スタジオの『JUDGE EYES:死神の遺言』がおすすめです。
木村拓哉さん演じる弁護士の八神が、人外な動きで敵を殴り倒しまくれます。
なお、本作はDLCが同梱、英語音声が追加され、ロード時間やフレームレートが向上した次世代機版『龍が如く7 光と闇の行方 インターナショナル』も発売中です。
お持ちの方はぜひこちらでプレイすると、よりキレイなおっさんたちが見られますよ。